先週7日の米国市場では、注目されていた5月の雇用統計が発表された。肝心の統計はまだら模様。「市場予想の中間で、売りか買いか、非常に判断がつきにくい内容だった」(先のエコノミスト)。このため、株式や外為市場は乱高下を繰り返した。この流れが今週の日本市場にも気迷い気分を強めるという形で影を落としているのは間違いない。
アベノミクスを後押ししてきた複数のメディアの論調をチェックすると、「直近の下げ局面は目先の利益を確定させるもので、好調な企業業績や景気全般の回復期待で再度買いが入り始める」的な楽観的なものが目立つが、果たしてそれほど簡単にいくのか。
「アベノミクスのアナウンス効果に便乗し当面の利益は確保した。ここからさらに日本株を買い上げ、円を売り込むだけの手掛かりは乏しい」(某ヘッジファンド関係者)との声は少なくない。
米国で長らく実行されてきた金融緩和局面が出口に向かうとの見方が台頭している上、欧州でまたぞろ個別国の財政危機問題が浮上する気配も濃厚だ。加えて、中国国内では、地方政府による隠れ借金問題もクローズアップされている。
「世界中で資金を運用している以上、日本固有の要因だけを気にしているわけにはいかない」(先のファンド関係者)
アベノミクス効果による上げ潮、わずか2カ月たらずで息切れとみるのは早計だろうか。
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