トンネルだらけの沖縄新鉄道案は魅力に乏しい杉山淳一の時事日想(1/6 ページ)

» 2013年06月14日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 2013年6月5日、沖縄県は「鉄軌道を含む新たな公共交通システム導入促進について」という文書を公表した。那覇空港駅から沖縄県庁・浦添市・宜野湾市(普天間)・うるま市・恩納村を経由して名護市に至る鉄道路線計画だ。路線延長は約69キロメートル。最高時速100キロメートルの電車を走らせて、那覇空港と名護市を約58分で結ぶという。

 鉄道の新路線計画というと、従来は計画実現性を高めるために需要見込みを嵩(かさ)上げし、金利負担込みの採算分岐点までは何十年もかかる事例が多かった。しかもフタを開けてみれば利用客は予想を下回り、黒字転換の見通しが立たない……。ところが、沖縄県のプランによると、かなり控えめに需要予測をしても、公設民営方式を採用すれば運行会社は単年度黒字可能という。実現可能性の高いプランになった。

沖縄県が構想する鉄道計画(出典:沖縄県Webサイト)
       1|2|3|4|5|6 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.