「キャリアアップ」のために会社を辞める若手社員の本音とはサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(1/3 ページ)

» 2013年07月08日 04時45分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

連載「就活・転職のフシギ発見!」とは?

 就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。

 使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』がある。

 個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


若手社会人の「キャリアアップ」にベテランから疑問が……

 先日、編集長の吉岡綾乃さんから、ある相談を受けました。「若手の社員たちが『このままだと自分はダメになる』とか、『ここにいても自分は成長できない』といって、会社をやめていくケースが増えていると思うのは、私の気のせいでしょうか? 別にうちの会社だけという話でもなく、他の会社でも聞くんですよ」と。綾乃さんいわく、「企業はキャリアアップという名の下に、研修制度なども充実させているところも多いのだから、その会社に勤め続けても成長はできるはずだ。なぜ『この会社で周囲をもっと良く変えていこう』『自分が変わろう』というマインドにならないのか? それが不思議だ」というのです。

 確かに、転職の相談を受けると、ほとんどの若手社会人が、転職したい理由としてまず「このままでは自分が成長できない」を挙げます。以前にも書きましたが、私自身は、転職相談を受けて「はいそうですね、では転職しましょう」と勧めたケースは一度もありません。今いる会社に留まってできることはないのか、という話を繰り返しします。

 古いタイプの人間なのかもしれませんが、やはりその企業に入社したのも何かの「縁」。それをむげに断ち切るのはいかがなものか、と考えてしまうのです。だから、ジックリと話し合う。ただし、腰を据えて話を聞いてみると、そこに挙げられる理由が案外、建前であることが透けて見えてきます。

 転職を考えている若手社会人に転職したい理由を聞くと、まずはポジティブに受け取られる理由を話します。その典型的なのが「このままでは自分が成長できない」「キャリアアップを考えて」というものです。そこで私は「どうして成長できないと考えたのか」「あなたにとってキャリアアップとはなにか」と質問を繰り返します。そうすると「与えられている仕事をしていても、充実した感じがしない」とか「先輩たちを見ていると、どう考えても自分が思い描いていた未来予想図とは違う」という答えになります。

「自分の成長のために」会社をやめる?(写真は本文と関係ありません)
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.