「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”」
あの南欧の危機はいまどうなっているのか。
先週、IMF(国際通貨基金)が発表した世界経済見通しの見直し版(参照リンク)では、ユーロ圏の成長率は2013年がマイナス0.6%と4月時点のリポートよりさらに0.2ポイント下がった。ユーロ圏としては6四半期連続でマイナス成長だ。ユーロ圏の頼みの綱のドイツもIMFは0.3ポイント下方修正し、2013年はプラス0.3%とした。要するにほぼ横ばいということだ。中国の成長率鈍化が鮮明となっていることを考えれば、さらにドイツの成長率が下方修正される可能性もある。
問題は、経済全体が縮小している中では、欧州の国家債務危機も銀行危機も基本的に解決できないということである。ECB(欧州中央銀行)は、債務危機に瀕した国の国債を銀行から買い取るという計画を実行している。これによって金利をできるだけ低く抑え、そうした国が債券を発行しやすくするということである。それでも最近はポルトガルの10年物国債の利回りが6%の「危険ライン」を超えて7%を上回っている(ちなみにギリシャの国債利回りは10%だ)。
ギリシャはもう6年もマイナス成長が続いている。ポルトガルも2012年はマイナス成長だし、2013年も悪い(評判の悪い緊縮財政政策を取り続けていて、そのおかげで危うく政権が崩壊しかかった)。国債の金利が高ければ、国として資金繰りがつかないというだけでなく、銀行に新たな資本を注入しようにも資金がないということになる。新たな資本が入らなければ、銀行は融資をする資金にも事欠くことになる。
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