フランスのメディアでは線路の老朽化を指摘する論調が増えているようで、NHKの報道によるとキュビエ運輸相も老朽化を認めている(参照リンク)。ただし、産経新聞によると、線路敷設や維持管理を担当するフランス鉄道網は「老朽化は安全性の低下に影響しない」と反論したという(参照リンク)。
確かに、古い線路であっても、保守整備が万全であれば安全な運行は可能だ。日本の幹線鉄道も100年以上の歴史がある。つまり、この事故の問題は「保守整備が万全であったか」に絞られそうだ。フランス国鉄(SNCF)は保守の不具合の可能性を認め、フランス国内5000カ所の分岐器で、該当する部品を点検しているという。つまり、具体的な報道はされていないが、部品の特定はできているようだ。そこをきちんと対策すれば、今後は同様の事故を防げるだろう。これは今後の安心材料のひとつといえる。
しかし、部品の特定はできたとしても「なぜその部品の保守整備に不手際があったのか」という問題は残る。実はここに、フランスの鉄道の構造的な問題がある。それは、フランス国鉄だけではなく、欧州の鉄道網に潜む問題でもある。さらにいうと、日本の鉄道にだって無関係ではない。日本の鉄道事業者、鉄道を利用する私たち、鉄道施策を考える関係者にも学ぶべきところがある。フランスの鉄道事故は、日本の鉄道施策への警鐘となりうる。
フランスの鉄道の構造的な問題、それは「上下分離施策」の弊害である。日本ではどの報道もそこに触れていない。これでは事故の背景は見えない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング