仕事で他の人に差を付けるには? 池上流「選挙特番の作り方」――池上彰×吉岡綾乃(後編)これからの働き方、新時代のリーダー(4/6 ページ)

» 2013年09月09日 07時30分 公開
[嶺竜一,Business Media 誠]

肩書きナシで仕事ができる人を目指せ

池上: 週刊朝日を100万部にした扇谷正造という名編集長が書いた、『諸君!名刺で仕事をするな』という本に、「名刺には会社の名前と肩書きが書いてあって、多くの人が社名と肩書きで会ってくれる。でもそれはあなたに力があるから会ってくれるわけじゃないんだ。そういう肩書きが無くても会えるようになりなさい」ということが書いてあります。まさにそれを今のビジネスパーソンにも伝えたいですね。

 今、とりあえずいろんな仕事ができているのは自分の会社と相手の会社との間に信頼関係があるからなんですよ。それが会社と会社ではなくて、個人と個人の人間的な関係でできるかどうか。それに今気づいて努力をすれば、将来にすごく役に立つと思います。

吉岡: 池上さんはいろいろな仕事で大活躍をなさっていますが、唯一無二の特異な存在というか、他に似た人が思いつかないんですね。それは意識して自らを差別化をしているのでしょうか。例えば去年の年末の衆議院選挙の選挙特番で、池上さんが攻めすぎていて面白いとネットですごく話題になって、この前の夏の参議院選挙でも舌鋒鋭く、視聴率は民放で1位になられましたよね。すごく面白かったです。

他とどう差別化するか? を常に考える

池上: もちろん他所の局との差別化を第一に考えましたよね。まずどの局もみんな報道局が中心となるのは分かっているわけです。報道の人はみな頭が固いから、選挙特番というのはいかに早く正確に当選確実を出すかが勝負だと思い込んで疑わないのですよ。でも、幸か不幸かテレビ東京はそういう競争には勝てない。人数が圧倒的に少ないですから。ならば別の切り口で勝負をするしかないでしょう。 

 この夏の参議院は各マスコミの予測で、自民党の圧勝は分かっていましたよね。自公で過半数どころか、3分の2まで取るかもしれない。そんな状況だから、視聴者はテレビをつけて結果を確認するぐらいだろう。どこが一番早く当選確実が出るかという勝負なんか、絶対に見てもらえないと考えたんですよ。でも他の局はそれをやるだろう、と。

 それならうちは、選挙特番を知的エンターテインメントとして見てもらえるような番組にしようと考えた。政治家ってどうやって政治家になるんだろう。どうやって当選するんだろう。どんな支持者がいるんだろう。あるいはこの人、ほんとに政治のこと考えているのかな、ということをズバズバと切り込んでいく番組にしていこうと。

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