人を恨み続けてしまった人が死ぬときに後悔する34のリスト(1/2 ページ)

» 2013年09月11日 07時00分 公開
[川嶋朗,Business Media 誠]

集中連載「人が死ぬときに後悔する34のリスト」について

本連載は、川嶋朗著、書籍『医者が教える 人が死ぬときに後悔する34のリスト』(アスコム)から一部抜粋、編集しています。

明日死ぬとしたら、あなたは人生を後悔しない自信がありますか? 人はいつ死ぬか分かりません。もしかしたら明日、いや、今日死んでしまうかもしれないのです。そのときに後悔をしても手遅れです。だからこそ、生きているいま、やるべきことをやらないといけないのです。

「なぜ生きたいのかを真剣に考えてこなかった」「やりたかったことができなかった」など、本書では、人が死ぬときに後悔することを34のリストにして紹介しています。来るべき死を他人事ではなく、自分にも必ず訪れる人生の義務のようなものととらえ、今生きている人たちが後悔なく、納得して人生をまっとうするためのヒントを提示しています。


著者プロフィール:

川嶋朗(かわしま・あきら)

東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長、医学博士。漢方をはじめとするさまざまな代替、伝統医療を取り入れ、西洋近代医学と統合した医療を担う。

「理想的な死とは何か」を考え、QOD(クォリティ・オフ・デス=死の質)を充実させることを提案。『医師が教える幸福な死に方』『すべての病は「気」から』ほか著書多数。


母親への憎しみが、がんの原因に

 たくさんの患者を診てきて、心に抱えた誰かへの憎しみや恨みが病気の原因になることを痛いほど教えてもらいました。

 患者は家族に話せないことでも、私には包み隠さず話してくれます。患者のストーリーを根掘り葉掘り聞いているうちに、病気の原因を教えてくれるキーワードがぽろりと出てきます。

 安西さん(仮名、60代女性)もその1人です。乳がんにかかって全摘出したのですが、3年して卵巣がんにかかり、これも摘出したものの、15年してまた卵巣がんが再発したのです。

 安西さんのキーワードは「弟」でした。「母が亡くなったので、これでもう弟と付き合うこともなくなるでしよう。安心です」

 安西さんは、20代のころから弟さんとうまくいかなかったというのです。その理由を聞いていくうちに、安西さんが病気になった原因が分かってきました。

 「母はいつも弟のことばかり可愛がり、自分は放っておかれていたんです。弟の嫁には優しくしても、私のことは実の娘だからと言って気を遣ってもらえませんでした」

 実の母親と娘がうまくいかないストレスが、病気を引き起こすケースはけっしてめずらしくありません。安西さんの場合、病気で倒れた母親を10年間も介護して看取っていました。その間の心の葛藤が、深刻なストレスとなっていたのです。

 安西さんは、心のなかに押し込めていた屈折した思いをぶちまけるように、こう言いました。

 「母を介護した10年間に、私、うつになったんです。あの人に人生を壊されてしまったんですよ。母との関係が、私をがんにしたのだと思います」

 人を呪わば穴2つと言いますが、誰かを恨んだり憎んだり、嫉妬したりしつづけるストレスほど、心と体を傷つけることはありません。

 しかし、それががんの原因だったと分かれば、恨みや憎しみは自分の心が勝手につくり出したものだということが分かってきて、心のわだかまりが消えていきます。腫瘍マーカーの数値が上がっていると言っていた安西さんですが、それからというもの、化学療法がうそみたいに効いてきました。

病気の原因が分かれば、病気は止まるか消えるかなのです。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.