既報のとおり、Appleが10日(現地時間)、新型iPhoneとして「iPhone 5s(参考記事)」と「iPhone 5c(参考記事)」を発表した。詳しくは速報記事に譲るが、今回Appleは、スマートフォン市場の広がりと一般化に合わせてiPhoneのラインアップを2つに拡大。iPhone登場以来最大の進化となる新OS「iOS 7(参考記事)」を投入したほか、日本ではソフトバンクモバイル、KDDI (au)に加えて、NTTドコモもiPhoneの取り扱いを開始することになった。これらにより今回のiPhone 5c / iPhone 5sの発表は、近年まれに見る大きな変化となった。
新型iPhoneの投入とドコモのiPhone取り扱い開始は、日本のスマートフォン市場においてどのような意味を持つのか。それを考えてみたい。
今回発表された新型iPhoneの中で、まず注目したいのが、iPhoneのラインアップが「iPhone 5c」と「iPhone 5s」という2つのモデルに拡大したことだ。正式発表前にネット上で飛び交っていたうわさや一部メディアの“飛ばし気味”な報道では、Appleが新興国向けの廉価版iPhoneとしてiPhone 5cを用意したというものもあった。しかし今回発表された新型iPhoneを見れば、iPhone 5cとiPhone 5sにはそれぞれ違う役割が与えられており、一部メディアの予測は安易なものであったことが分かる。
まずiPhone 5cだが、これは前モデルのiPhone 5から性能は落とさず、カラーバリエーションを増やすことでカジュアル路線となったことが特徴だ。今年に入ってからのスマートフォン市場では、スマートフォンに強い関心を持つ先進層や高感度層に代わり、これまで普通の携帯電話を使っていた一般ユーザー層が購入の主役になっている。彼らはスマートフォンに対して最先端の高性能は求めておらず、むしろ「道具としての使いやすさ」と「デザイン・質感の高さ」、「ブランドイメージのよさ」を期待している。性能については、2年程度の買い換えサイクルで不満が出ない必要十分なレベルであればいいのだ。iPhone 5cはこのような市場の変化に的確に対応したモデルであり、実際に手にしてみれば分かるが、デザインや質感はとても高く、チープさは感じられない。廉価版というより時代の変化に合わせた「標準モデル」ととらえるべきだろう。
それでは、iPhone 5sの方はどうか。
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