ならば、「直接聞いてやれ」ということでJASRACに取材を申し込み、疑問をぶつけてきた。答えてくれたのは業務本部副本部長の小島芳夫氏。
まず、「有名アーティストの動画を貼り付けるのであれば、原則として権利者の許諾は必要。ただし、公式チャンネルで提供されているオフィシャル動画であれば、外部サイトへの貼り付けを想定した規約になっているはず。貼り付けるのであれば、オフィシャル動画にしてほしい」とのこと。
なるほど、サザンオールスターズやAKB48といったビッグネームが、自らYouTubeの公式チャンネルを開設し積極的に動画を公開している。中には、クリエイティブ・コモンズライセンスに基づいて再編集を許す形で公開している動画もある。
これらのオフィシャル動画であれば、大手を振って埋め込めるということだ。また、公式チャンネルでなくてもアーティスト本人がパブリックにOKを出したものであれば、それもオフィシャル動画に準ずると理解して埋め込みを行っても大丈夫なのだろう。
例えば、このような例がある。2013年6月20日、「VAN HALENからのお知らせです」という文言で始まる、あるツイートが話題になった。海外大物アーティストを多数招聘(しょうへい)していることで知られる「ウドー音楽事務所」のアカウントでつぶやかれたそのツイートは、「バンドからの希望によりVAN HALEN公演に限り写真/ビデオ撮影がOKになりました」とつづられていた。
VAN HALENというのは、ヒット曲「ジャンプ」でお馴染みのあの「ヴァン・ヘイレン」だ。大物アーティストのライブでは、入場時に必ずカバンの中をチェックされるほどに、無許可の録音、録画、撮影には、神経をとがらせているライブ会場のいつもの様相を知るものからすると、驚きの告知だった。
実際、そのツイートには偽りはなく、会場でもそのようにアナウンスされ、公演終了後には「撮影した写真や映像をTwitterやFacebookなどのSNSにアップしてほしい」といった趣旨のメッセージも流れた。実際、YouTubeには、ライブの模様を記録した写真や動画が観客の手によりたくさんアップロードされており(参照リンク)、会場の熱い様子をうかがい知ることができる。
ちなみに米国を中心とした海外のライブでは、プロ機材を持ち込まない限りは、スマホなどでの撮影を解禁する動きが定着しており、YouTubeやFacebookには、客席から撮影したワールドクラスのアーティストの公演動画が多数存在する。
ヴァン・ヘイレンの日本公演のように「アーティストがOKを出した」という情報が明確になっていれば、心おきなく埋め込めるわけだが、海外ものの公演動画については、こちらでそれを判断するのは難しいから困ったものだ。スマホなどを使って客席から撮影した明らかにライブの映像と分かるものは、「おそらく大丈夫」と判断すればよいのだろうか。
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