「カシオペア」のキーボーディストにして、リアルな鉄道ゲームソフト「トレインシミュレータ」の開発者でもある向谷実氏。その向谷氏がここ数年作曲家として取り組んでいるのが駅の「発車メロディ」だ。九州新幹線の発車メロディや車内放送メロディに続き、京阪電鉄の発車メロディを作曲して話題になっている。
インタビュー前編では、京阪電鉄の発車メロディの話題を中心に、向谷氏が考える“あるべき発車メロディの姿”についてうかがった。後編では、向谷氏の鉄道関連ビジネスと、「アーチストが作品を会社に納品する」というビジネスについて、著作権問題なども含めて聞いていく。
→向谷実氏が考える鉄道と音楽(前編)――発車メロディ3つのオキテ
向谷氏のファンは2つのタイプに分けられる。1つはカシオペア以来の音楽ファン。もう1つはトレインシミュレータ以来の鉄道ファンだ。2008年秋に発売された「京阪電車発車メロディコレクション」は、鉄道ファン向けのアイテムだが、音楽ファンからも注目されているという。
「音楽ファンからは、“駅の発車メロディだけを収録しているだけ”“鉄道ファン向けのCD”だと思われていたらしいです。ところが、アレンジバージョンを4曲も収録していて、それらはちゃんとした楽曲になっている。“こんなカッコイイ曲が入ってるの”“どうして宣伝しないの”と音楽のファンが怒ったらしい(笑)。
確かに、アレンジバージョンの4曲目なんて、めっちゃロックなんですよ。最初の駅から加速して、次の駅で制限速度があるので少しスピードを落として――そういう鉄道の要素を入れて、音楽的には行ったり来たりという感じが続きます。そうすると音楽ファンは欲しくなっちゃう。だけどこのCDは京阪電鉄の駅でしか売っていないんです。“なぜ全国で発売しないのか”という声も寄せられたと聞いています」
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