料理人の本能ってなんでしょう。
おいしい料理を食べて喜んでもらう――これに尽きるのではないでしょうか。阪急阪神ホテルズを皮切りに次々と明らかになった食の偽装問題も、高級なおいしい食材を使ったことにして、お客さんを喜ばせたかったという本能から来ているのかなと思います。実際は安い食材を高級食材と偽ってしまったために、利用客を怒らせてしまったわけですが。
阪急阪神ホテルズが行った食材偽装の要因は、従業員の給与を上げるためだったというニュースが出ています。“運転資金を安く抑えて、利益を最大限にしたい”というのは、経営者の本能かもしれません。しかし、おいしい料理の値段が高いのは当たり前。いい食材を使えば、提供できるメニューの値段が高くなるのは当然の話です。高級食材使用と偽装しながら原価を下げて、浮いた利益は人件費に回っていたわけですね。
いい商品が安いのであれば、それは必ずどこかに原因があります。流通コストを見直すなど、余計な無駄を省いた結果の価格ならいいのですが、従業員を家畜のように働かせて人件費を削りに削って実現した価格だとすれば、私たちは“安さ”への信仰を見直したほうがいい時期に来ているような気がします。
商品を安く売るために人件費を削るというやり方は、長年続いたデフレスパイラルの一因でもありました。いい商品は高くて当たり前。高級食材を使用したメニューなら高くて当たり前。そのような食事を提供できる店で従業員の給与を上げたいのなら、偽装などせずにその分を商品価格に転嫁すればよかったのです。
一連の問題が発覚してから、大手百貨店などに入っている多くの飲食店もメニューの表記を正しく書き換えたようです。正確な情報は歓迎されるべきことですが、あえて知りたくない情報もあったりして……。今回のマンガみたいなメニューを見てしまったら、おいしくても味なんて分からなくなってしまうかも。
「サイ●リヤのエスカルゴはなんでこんなに安いんだろう」と思ったことが多々あります。
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著者プロフィール:雄山スズコ
漫画家兼投資家。政治経済ジャンルに主に生息。2004年から投資を始める。中国株、日本株、各種外貨資産などさまざまな金融商品で痛手を負うが、こりずに挑戦中。著書に『政治萌え!〜国会ゆるゆる観察日記』(司書房)、『国会萌えコメディ 政界のまんががこんなにユルいわけがない』(集英社)。ぷら@ほ〜むで『国会萌えコメディ政界のまんががこんなにユルいわけがない』を連載中。公式サイト「桃熊薬局」。著作一覧はこちら。カブ・ジェネレーション単行本『新感覚投資コメディ株に恋して』(中経出版)が2013年11月26日に発売。「ハゲタカくんの華麗な日常」ほか描き下ろし漫画もたくさん。イベント参加情報:コミックマーケット85 12月30日 東4ホール モ-17b。
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