――2009年4月からBusiness Media 誠でも『カブ・ジェネレーション』の連載をお願いすることになりました。媒体側からすると株の知識があって、マンガも描ける人は貴重なんですよね。
雄山: コミティアやコミケに行っても、「株や金融について描いている人は少ないな」といつも思っています。来てくださる方の中にはすごく濃い人たちもいて、私にはさっぱり分からない話をされることもあります。ただ、私が分からないほど濃い話ができる人たちにも楽しんでもらっているんだと思うと、うれしいですね。
五月: しゃべりたいんですよね。最近の投資はどうだったとか、今後の見通しはどうだとか。
雄山: 「政権が代わって、こうなってきたでしょ。これからこうなるでしょ」みたいな。でも何十分も話して、同人誌は買ってくれないということもあります(笑)。これだけ語れるなら1冊作れるのに……と思うこともありますね。失敗談でもいいから聞きたいよ、という人はいますから。
――発信したとしても続かないことはあると思うのですが、雄山さんが続けてこれているのはなぜですか。
雄山: 私が株をやめないからですね。リーマンショックの時に大分損をしたのですが、「これだけ損したら逆に引けない」というのもありました。私の場合は、損したらネタにすればいいですし。会社勤めなので毎月給料があって、投資資金も尽きないですから。尽きないって危険なんですけどね(笑)。やめる動機がないんです。
一方、会社の同僚とかが「僕は15万円損して、もう株なんかやめたよ」と言う人もいて、「それでやめちゃうんだ」と思ったりもしました。この差は何でしょうね。
――商業流通でも本を出しながら、同人誌も出すことにどういうメリットがあると思いますか。
雄山: 理想としては、商業流通の本のスピンオフを同人誌で出せればいいと思うのですが、商業流通でやりたいことをやらせてもらうと同人活動がやりにくくなってしまうところはあります。商業流通で需要がなくなってもやり続けていける場所があると思うと、それはそれで安心というのはありますが。
――同人誌制作に社会的な意義のようなものは感じていますか?
雄山: 私は趣味の延長や、仲間探しだったりしますね。株を始めたころ、友達と一緒に株主総会に行きたいという夢があったのですが、最近叶ってしまいました。スターバックスの株主総会に行ったのですが、その夢が叶うまでに5〜6年かかっているのかな。
株に対するハードルは高いですからね。私が一時期婚活していた時、婚活パーティとかで株の話をすると、男の人が引くんですよ。「株なんかやってんのか。やべえ、こんな女とは付き合えねえ」みたいに、露骨に引かれました。私としては話題が広がっていいだろうと思って話したのですが。男の人でも株嫌いというか、投資行為に対する敬遠があるので残念ですよね。
それもあって、もっと気軽に株をやっていいと知ってもらいたい気持ちもありました。スターバックスの株も今はアベノミクスで上がっていますが、安い時は3万円台で買えましたし、クソ株ではないですが数円の株もあるので、やってみるのは簡単なんです。もっと投資がカジュアルなものになったらいいんじゃないかと思います。
五月: まったく同感ですね。
雄山: でも、日本人はお金儲けに対する嫌悪感があるかもしれません。「お金のことを大っぴらに語るんじゃないよ」と言う人がいたり、「こんなにもうかっちゃったとか言うな」という雰囲気があったりしますし。
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