「明日ママ」にケチをつけた慈恵病院が「モンスタークレーマー」と叩かれる理由窪田順生の時事日想(3/3 ページ)

» 2014年02月04日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]
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モンスタークレーマー

 人間というのは、身近な者には気を遣うことができるが、「知らない世界」のことまでは配慮ができない。

 いや、むしろ「知らない」ことを逆手にとって、イメージを増幅させておもしろおかしくネタにすることのほうが多い。

 「明日ママ」の脚本監修している大御所は、「取材しないことで有名」らしい。つまり、「知らない世界」のイメージだけを増幅させて、「今世紀もっとも泣けるドラマ」(明日ママのキャッチコピー)を作ろうとした。「福島」や「奇形」の現実も知らず、イメージだけで笑いを取りにいったフランス人とよく似ている。

 こういう「クリエーター」たちからすると、「知らない世界」でワーワー騒ぐ者たちは、「道理の通じぬ怪物」に見える。だから、慈恵病院を「モンスタークレーマー」だと勘違いする。世の中にはホンモノの「モンスター」がわんさかいるというのに。

 彼らは「配慮」だけを求めた慈恵病院のように優しくない。グダグダの危機対応で露呈した「弱点」に対して執拗(しつよう)に攻撃し、放送の訂正や中止を求めてくる。

 ナインティナインの岡村隆史さんが今回の騒動に関して「テレビは終わった」と言ったらしい。彼の意図している意味とはちょっと違うが、「終わった」という点は大いにうなずける。

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