インタビュー
» 2014年02月27日 08時00分 公開

これからの働き方、新時代のリーダー:「メイド・イン・ジャパン」の縫製工場が消えてしまう前にできることがある――ファクトリエの挑戦 (2/3)

[岡田大助,Business Media 誠]

商品の値段は、工場が持続可能な金額で決める

岡田: 先ほど、工場の取り分は15%程度だと言っていましたね。残りの85%は、どこへ消えていくのでしょうか?

山田: 工場と消費者の間には、さまざまな「商」のプレイヤーがいます。まず、お店が40%くらいを持っていきます。それから卸、メーカー、商社といった中間業者がいます。工場に仕事を振る「振り屋」とか「テーブルメーカー」という人たちもいます。

 ファクトリエで実現したいことは、これら中間業者を完全に排除することで流通をシンプルにし、工場と消費者を直接つなぐことで工場の地位を強くしたい、ということなのです。ですから、商品の値付けでも、まず「工場が持続可能な金額」を提示してもらっています。

ファクトリエ

 例えば、Factelier by HITOYOSHIの場合、製造原価は5200円です。工場とファクトリエの取り分はだいたい50%ずつと決めていますから、販売価格は1万円になります。商品企画やデザイン、マーケティング、PR、流通、販売までの「商」の部分を全部ファクトリエで引き受けるので、「工」の部分は最高のものを頼むよ、と。

岡田: 既存のアパレル流通では圧倒的な力を持っていた「商」の部分に対して、工場が対等の立場になったということですね。非常にすばらしい取り組みだと思います。

 ところで、同じ原価5200円のシャツを通常の流通に乗せると、販売価格は3万5000円くらいになるということですよね? 言い換えれば、3万円で売っているクオリティのシャツが1万円で買える、と。つまり、これって、工場、ファクトリエ、消費者にとって、いわゆる「三方良し」の状態になっています。

山田: そういうことになりますね。世の中で1万円で売られているシャツというのは、原価が1000円とか、1500円で作っているものですから、やはり品質がぜんぜん違います。ファクトリエのシャツは、圧倒的にすべてが違うと言い切ってもいい。私たちは、この圧倒的な品質を持ったメイド・イン・ジャパンで世界に打って出たいと思っています。

 でも、ただ単に「日本製」であるだけではダメ。最高のメイド・イン・ジャパンであるべきです。それは何かといえば、細かい部分にも手が込んでいて、商品として長く使えて……という部分に表れるでしょう。中国の工場でも作れるレベルの商品を、わざわざ日本の工場で作っただけで「メイド・イン・ジャパン」の復活というのはやりたくないのです。

岡田: でも、それは高品質ではあるものの、コストも高くなりますよね?

山田: そうですね。私たちが「残すべきだ」と思っているメイド・イン・ジャパンの商品には、世界の一流ブランドの商品を製造を委託されるような工場の高い技術が必要です。でも、それをやるにはコストがかかってしまう。

 だから、3つのコスト削減を考えました。1つは、先ほどいった中間業者を排した流通の簡素化。2つ目は、商品を工場の閑散期に作ってもらうこと。3つ目は、同じデザインの商品を大量に作ってもらうこと、です。この3つをかけ合わせたビジネスモデルを実際に回していくのは、非常にハードルが高いと思います。だから、競合も出てきにくいかな、と。

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