山口百恵「赤いシリーズ」のDVDが売れている――なぜ? 講談社の人に聞く仕事をしたら“パートワーク”が売れた(4/5 ページ)

» 2014年03月19日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

奈良原: タイミングもありますが、やはり山口百恵さんのキャラクターによる部分も大きいですね。1970年代に活躍した彼女は、当時の女性像にものすごい影響を与えました。こびない、潔い、情に厚い――といった彼女が歌で作り上げた女性像が多くの女性たちに支持されて、ひとつの時代を作っていきました。

 また「赤いシリーズ」は当時、高視聴率を残しました。主人公を襲う不幸の連続に、視聴者はテレビのブラウン管に釘付けになっていました。「この人は私の姉妹かもしれない……」といった感じで、ストーリーがどんどん盛り上がっていくので、「早く次の話を見たい」という気持ちになる。ドラマ作りの原点のような作品群なんですよね。

 10年ほど前に『冬のソナタ』などの韓国ドラマが大ブームになりましたが、「赤いシリーズをモチーフにしているのでは」と感じられる作品がいくつもありました。それほど影響力のある作品なのでしょうね。

土肥: そう考えると、「赤いシリーズ」のDVDマガジンを出すにあたって不安はなく、「もう絶対に売れる」といった自信があったのでは。

奈良原: いえいえ、とんでもない。繰り返しになりますが、パートワーク市場のメインターゲットは中高年の男性。これまで女性向けの商品での大ヒットはあまりなかったので、刊行するにあたっては、そこに不安を感じていました。

アンケート調査と違う結果に

土肥: 「赤いシリーズ」を出すにあたって、マーケティング調査をされたと思うのですが、どのような結果が出たのでしょうか?

奈良原: パートワークはマーケティングリサーチの結果が、売れ行きに反映される商品なんですよ。もちろん、リサーチがよくても商品に魅力がないと、売れなかったりしますが……。

 アンケートでは「あなたは『赤いシリーズ』を見ますか? 見ませんか?」といった質問のほかに、「買いますか? 全巻、購入しますか?」と聞いています。この「買いますか? 全巻、購入しますか?」の回答率に注目して、実際に刊行するかどうかを決めていきます。

土肥: 「買います」と答えた女性が多かったのですか?

奈良原: ですね。ただ、実際に購入されているのは女性のほうが多いのですが、アンケートでは男性も多かったです。というのも、初DVD化された『赤い迷路』では、松田優作さんが出演しています。松田さんは男性ファンが多いので、DVDマガジンはやはり男性購入者が多いだろうと思っていました。いい意味で裏切ってくれましたね。

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