山口百恵「赤いシリーズ」のDVDが売れている――なぜ? 講談社の人に聞く仕事をしたら“パートワーク”が売れた(2/5 ページ)

» 2014年03月19日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

パートワーク市場について

講談社・第四編集局長の奈良原敦子さん

土肥: 講談社でパートワークの部門を担当されている奈良原さんに取材ができるということで、この市場について調べてきました。

 『出版指標年報 2013年版』(全国出版協会・出版科学研究所)のデータによると、2012年のパートワーク市場は販売金額が前年比14.7%減の237億円。その要因として、平均単価が大幅に下がったことが挙げられています。

 2011年は価格の高いCD・DVD付きのモノや組立モノが多かった反動から平均価格は8.6%安の909円に下がってしまいました。市場全体では平均単価が下がっているのですが、講談社は邦画・ドラマ系のDVDの販売を増やしたので、逆に単価は上がりました。

奈良原: パートワークを扱っている出版社は、「書店」を通じて販売しています。創刊時にテレビや新聞、Webなどで広告を打って、潜在需要を掘り起こす。創刊号を安くして、読者にまず手に取ってもらう。そして2号以降も継続してもらうことが、このビジネスモデルの肝になっています。

土肥: パートワークといえば「紙」……つまり雑誌のイメージも強いのですが、最近では少なくなっているのでしょうか?

奈良原: 1990年代から2000年代前半までは、紙モノが全盛でした。その後は、DVDや組立モノが増えてきましたね。ただ、紙モノが衰退しているわけではありません。

土肥: 確かに。例えば、デアゴスティーニが2008年に刊行した『週刊 歴史のミステリー』の創刊号(190円)は、100万部以上売れたそうですね。

奈良原: ただ、ここ数年、パートワーク市場で100万部を超える紙モノはなかなか出なくなりましたが、それでも20〜30万部売れるシリーズはあります。出版各社が雑誌の販売で苦戦している中、この数字はなかなか健闘していると言えるのではないでしょうか。昔は単価の安い紙モノを大量に刷って、「1家に1冊」といった感じでしたが、最近は単価を高くして、コアなファンに刺さるような企画が目立ってきました。特に組立モノはコアファンをターゲットにして、単価を高くしているので、創刊号が5万部でも利益がでるようなシリーズもあります。

 ちなみに、2号以降の売れ行きがイマイチな場合はどうしているのか。基本的には、部数を調整して、効率よく実売に合わせて販売していきます。

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