企業のWebサイトを見てみると、プレスリリースのほかにも、決算情報や月ごとの業績資料など、参考になる情報がたくさん眠っています。主にマスコミや専門家向けに公開されているものですが、実はビジネスパーソンにとってもためになる資料なのです。「企業→マスコミ→自分」という情報の流れのほかに、「企業→自分」という情報の流れを持つことは、スピード感が求められる今のビジネス社会では、大きな“武器”になるでしょう。
この連載では、企業が発表するプレスリリースや決算短信などを題材に「なぜこのような発表が行われるのか?」「この発表の舞台裏では何が起こっているのか?」「今後、この企業はどうなるのか?」という疑問に対して、著者がときに答え、ときに推測します。
公認会計士。大手監査法人にて、監査業務のほか、管理会計の導入から経営ビジョンの策定にいたるまで、さまざまな種類のコンサルティング業務に従事。また、大学や大学院でのインターンシップ研修の運営や各種企業研修での講師も担当。
難しい会計やビジネスの世界を分かりやすくひも解き、「中学生でも分かるように」説明することを信条としており、書籍や雑誌でも物語や漫画などの形式で会計の仕組みを解説している。座右の銘は「できるときに、できることを、できるだけ」。誠ブログ「公認会計士まーやんの『ロジカるつぼ』」を連載中。
4月1日から消費税が増税され、多くの製品・サービスの値段が変化しています。増税ですから、当然それを価格に転嫁した「値上げ」がほとんどなのですが、中にはそれを逆手にとった値下げ戦略をとる企業もあります。そのうちのひとつが、ゼンショーが運営する「すき家」の牛丼。
大手チェーンの「吉野家」「松屋」「すき家」では、今まで牛丼の価格は280円で横並びでした。増税を機に、吉野家は20円、松屋は10円の値上げを決断しましたが、すき家は逆張り……牛丼の価格を10円値下げしました。
4月1日から消費税が増税となりました。私たちすき家は、すき家の牛丼をより多くのお客様に手軽に、美味しく、召し上がっていただきたく、
牛丼の品質をさらに改善のうえ、4月1日から牛丼並盛を、新本体価格250円(従来本体価格267円)にてご提供させていただきます。
これからもより一層のご愛顧をお願い申し上げます。(すき家のWebサイトより)
牛丼の価格は時代とともに変遷がありました。2004年ごろの狂牛病(BSE)騒動を経て、いったん沈静化した値下げ競争は、今再び激化の一途をたどっているように見えます。
参考までに、3チェーン店の牛丼の価格推移をグラフにまとめてみました。
これをみると分かりますが、そもそもすき家は、従来から牛丼に関しては大手3チェーンの中で常に「最安値」をキープしています。そういう意味では今回の逆張り的な値下げ戦略も「ブレていない」と考えることができそうですが、ゼンショーのこの戦略が吉と出るか否か? 今回はそのあたりに焦点を当てて分析をしてみたいと思います。
飲食店の売上高は「来客数×客単価」という掛け算で分析されることが非常に多いものです。そのため、牛丼の価格改定によるそれらの変数の影響を見ていくことにしましょう。
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