インドで学校に通う子どもが苦しむ健康問題は、1位が下痢で、2位が寄生虫感染だ。その原因となるのは、人々がそこらじゅうで排泄を行う不衛生な環境にほかならない。水道施設も不十分なため、飲み水に細菌が混じり込むことだってある。手に雑菌が付いても洗い流すことなく、手づかみで食事をする。
特に子どもの半数は栄養失調気味で、健康状態がよくないために細菌やウイルスに弱い。日本では下痢で死亡するなんて想像しにくいかもしれないが、途上国では激しい下痢による脱水症状などで、1日に1600人の子どもが死亡している。
そんな子どもを取り巻く排泄環境も、以前よりはいくらか良くなったという。2006年にはインド国内にある学校のうち、半分近くにトイレがなかったが、今では8割以上の学校で、少なくとも1つはトイレが設置されている。とはいえ、逆の見方をすれば、残り2割程度の学校に通う子どもたち(約2800万人)は、今も外で排泄をしていることになる。
特に女子の場合、家でもトイレにプライバシーがないために、多くの女子は外が暗くなるまでトイレを我慢することもあるという。学校にトイレがあっても「女子トイレ」が存在しない場合も多い。思春期になれば、学校にトイレがない、またはトイレにプライバシーがないために、学校に行かなくなる女子も少なくない。そのまま中退してしまうケースもあるそうだ。
こうした衛生問題に対してはシンプルな解決策がある。とにかくまず、外で排泄するのをやめてトイレを清潔に保ち、衛生状態を改善すればいい。そして、子どもの生活改善などに取り組む国連児童基金(ユニセフ)はちょっと面白いやり方で、インドの排泄問題への対策に乗り出している。このユニセフのキャンペーン、成功すればなんと低迷するインドの経済をも、結果的に救うかもしれない可能性を秘めているのだ。
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