私立中学進学のためのマネープラン――私立校教育費の目安マネーの達人

» 2014年06月20日 07時00分 公開
[小谷晴美,マネーの達人]
マネーの達人

 中高一貫教育へのニーズの高まりや独自カリキュラムの魅力もあり、私立中学への進学を考える家庭も少なくありません。「うちの家計で私立に通わせても大丈夫でしょうか?」という相談もあります。

 そこで今回は、私立中学に進学した場合、高校までの6年間でどのような費用がいくらくらいかかるのかについて紹介します。

授業料だけではない学校教育費

 学校情報誌などに掲載されている、(1)入学金、授業料、施設費の他に、(2)諸会費や行事・学内活動に関連する費用、図書教材費用などの学校納入金、(3)制服や通学用品、通学交通費なども、計算にいれておく必要があります。

 入学金は20〜30万円程度のところが多いようですが、年間の授業料は20万円弱から100万円を超えるところまでと幅があります。学校行事や学内活動に関する費用は、授業料とは別です。学内活動が盛んであったり、海外研修があるなどの場合は、このあたりの費用が高くなると考えられます。また、入学時に購入する制服や通学用品も、10万円程度のところもあれば、50万円近くかかったという話も聞きます。

 このように、必要な金額は学校によって異なるので、志望校のWebサイトなどでこれらの学校教育費について事前に調べることをお勧めします。

私立中学高校の教育費の目安

 しかし、まだ志望校が決まっていない、あるいは中学受験を目指すかどうか検討しているという人には、大まかな目安として文部科学省の調査データが参考になります。

 私立の中学高校の学校教育費(給食費を除く)と学校外活動費(塾・スポーツ、習い事等)を学年別に表しています。

(出典:平成24年度 文部科学省「子どもの学習費調査」)

 (A)の学校教育費には先ほどの(1)〜(3)までの費用がすべて含まれます。私立進学後に「かかる教育費」と言えます。その平均額は、

中学:1年目130万円、2年目以降80万円強。

高校:1年目98万円、2年目以降5〜60万円。


 と、中学のほうが高くなっています。

 なぜ高校のほうが安いのでしょうか? これは、公立高校の授業料無償化に伴い、私立高校にも就学支援金として国から公立高校の授業料相当額(約12万円)が支給されているためです。

 ただし、今年度から所得制限が設けられていますので、目安として年収約910万円以上の人は、上記金額に12万円を加算して計画するといいでしょう。

 (B)の学校外活動費は、塾や習い事など、各自の判断で「かける教育費」です。なかでも塾などの補助学習にかける費用は、公立中学の3年間の平均が22万円であるのに対し、私立中学では19万円となっています。公立のほうが高くなっています。

 「塾や予備校に行く必要もないほど学校で面倒を見てくれたので、トータルで考えると私立中学進学は決して高くなかった」と言う人もいれば、「私立に通っても塾は必要」と言う人もいます。学校や子どもによって、かける教育費の金額は異なります。

 「大学受験に備えて塾や予備校に行く必要があるか」「学校の授業について行くのが難しくなったとき、学校でどこまでフォローしてもらえるか」など、各学校の情報を得ておくと良いでしょう。

 「うちの家計で私立に行っても大丈夫でしょうか?」という相談に対しては、キャッシュフロー表を用いて次のことを確認します。

  • 兄弟の教育費も合わせて、高校までは月々の家計の範囲でまかなえるか
  • 大学進学資金や老後資金など、その他の資金計画と照らして無理がないか

 子どもの未来のためにも、まずは現在の家計状況を把握して、未来のお金の流れを確認してはいかがでしょう。(小谷晴美)

著者プロフィール:

小谷晴美

小谷晴美 Webサイト

国立大阪教育大教育学部卒業。2006年、ファイナンシャルプランナー資格を取得。保険や金融商品の販売を目的としない独立系ファイナンシャルプランナーとして起業。「自分らしい暮らしと未来を守る家計づくりのお手伝い」をモットーに中立的な立場で個人相談やマネーセミナー等の講師を務める。

企業研修:世代別ライフプラン研修、定年前研修、金融機関向け提案力強化研修

講演・セミナー:消費者向けマネーセミナー、女性起業セミナー、学生向け金融教育

保有資格:CFP、中小企業診断士、住宅ローンアドバイザー


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