日本のプロ野球や米メジャーリーグを中心としたスポーツ界の裏ネタ取材を得意とするライター。WBCや五輪、サッカーW杯など数々の国際大会での取材経験も豊富。
サッカー日本代表がブラジルW杯で決勝トーナメント進出を逃した。初のベスト8入りを期待されたが、2002年の日韓、2010年の南アフリカ大会に続く3度目のベスト16入りも叶わずグループリーグ敗退で涙を飲んだ。
本当に残念である。とはいえ、その一言で終えるわけにはいかない。期待を裏切ってしまったチームには今後同じ轍を踏まないためにも検証が必要だ。一体、何がこのような結果を招いてしまったのか。テクニカルな面についての辛口トークは評論家諸氏にお任せするとして、その理由の1つに筆者は「指揮官の組織力の欠如」が挙げられると思う。
実際、ブラジル大会に臨む日本代表の取材を行っていて複数の選手や関係者からザックことアルベルト・ザッケローニ監督の“ほころび”を耳にした。
「監督は特定の選手としか、まともに話さない」
これは日本代表メンバーに名を連ねている選手の証言だ。話を総合すると、特定の選手というのは本田圭佑と長友佑都、長谷部誠の3人。他のメンバーについては「まったく話さないわけではないが、3人と比べて明らかに対応の仕方が素っ気なかった」という。
ザッケローニ監督は今大会に向け、本田を中心としたチーム作りを行ってきた。だから本田に関しては肩入れするのも当然のことだったのかもしれないが、それを意識し過ぎる余りに他のメンバーから「偏重」と捉えられてしまっていたのも、また事実なのである。
本田と長友ら一部のメンバーが指揮官から“えこひいき”されていると思い込む声が、日本代表チーム内から噴出している――。そんなトーンの報道はギリシャ戦敗退後、一部の夕刊紙でも取り上げられた。ザックジャパンを応援するサポーターからは「そんなバカな」「また夕刊紙特有の妄想記事だろう」などと一笑に付す否定的な声がネット上でも多数出て大炎上していたが、信じたくない気持ちもよく分かる。しかし、これは残念なことに事実だ。
本田がCSKAモスクワからACミランへ、そして長友がACチェゼーナからインテルミラノへそれぞれ移籍した際、水面下で2人の新天地となるイタリア・セリエAの両ビッグクラブの幹部に口利きするなど橋渡し役を担っていたのは他ならぬザッケローニ監督だった。これはサッカー関係者の間では広く知られているエピソードだ。代表選手の一部は、その裏事情を知っていたこともあって「本田と長友ばかりが特別扱いされているのではないか」と嫉妬を覚えてしまったフシも見受けられる。
「ザッケローニ監督がよかれと思ってやったことが、このチームでは選手と指揮官との間に逆にミゾを生む要因となってしまう。そんなことが多々あった」と、ある代表スタッフは嘆いていた。
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