業務提携ってどのように進めるの? JALの達人に“交渉術”を聞いてきた仕事をしたら“交渉”が成立した(6/7 ページ)

» 2014年07月23日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

提携のタイミング

JAL本社にて

土肥: バンコク・エアウェイズとコードシェアの提携を結ばれたのは、2012年ですよね。タイに行く日本人は、もうずいぶん前から多かったような。ちょっと遅くないですか?

カムチャイパイ: JALは1988年10月に、タイ航空と提携を結びました。しかし、いろいろ制約があって便を増やすことが難しいんです。

土肥: ん? どういうことでしょうか?

カムチャイパイ: JALはワンワールド(航空連合の1つ)に加盟していますが、タイ航空はスターアライアンスに加盟しています。加盟しているアライアンスが違うので、提携内容を拡大させることが難しい。また、タイ航空はANA(全日空)ともコードシェアの提携を結んでいるので、こちらとしては「タイ航空の飛行機を使って、路線を増やしたい」と言いにくいんですよ。

土肥: それは“タイ”変。「タイに行きたい」という日本人は多いのに、飛行機に乗せることができなかったわけですね。

カムチャイパイ: はい。出張や旅行などでタイに行かれる日本人が増えてきたので、バンコク・エアウェイズと提携を結びました。この航空会社は、タイに飛んでいるだけでなく、ミャンマーやカンボジアなどにも飛んでいるんですよ。現時点で、そうした国や地域にJALの飛行機を飛ばしても、なかなか利益が出ません。カバーできないところを補完できるという点も魅力でしたね。

土肥: ただ、やはりタイミングが遅い、と思うんですよ。もう少し早く提携を結ぶことはできなかったのでしょうか?

カムチャイパイ: 以前は会社の規模が小さかったので、提携が難しかったのです。バンコク・エアウェイズはここ数年でとても大きくなりました。お互いが提携のメリットを感じられるタイミングが2012年だったということです。

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