「デル」の女性は9割以上が産休後に復帰――復帰支える“お互い様”の精神制度と社風、どちらも必要(4/4 ページ)

» 2014年08月08日 08時00分 公開
[末岡洋子,Business Media 誠]
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WISEで“ロールモデル”が見つかる

 業績には直結しないWISEの活動だが、女性社員には業務時間であっても参加を勧めているという。「優秀な人材が自分の能力をさらに伸ばすことは会社にとってもメリット。彼女らがビジネスパーソンとして成功すれば、自部門の数字にも返ってくる」というのが彼女の考えだ。

 トレーニングを受ける方も真剣だ。2013年度の大きなテーマは「Grow Your Career With English」。業務で英語を使う機会が増えていることからこのテーマを選んだという。TOEICのスコアごとに分かれ、午前8時から8時45分まで特訓するクラスには、毎日通う女性社員も多くいたそうだ。

 このように「女性が働き続けるマインドを持つ」ために必要だと小野氏が実感しているのが“ロールモデル”の存在だ。自分がどのような人間になりたいか、どのように働き、キャリアを積み重ねていけばいいか――こうした目標となるケースがないと、自分の未来について不安になることは想像がつくだろう。

 彼女が育った営業部門には幸い女性の上司がおり、ロールモデルとなる人物がいたという。しかし、そもそも女性が少ない部署など、ロールモデルが存在しないケースも多い。WISEを始めてから、悩みを抱えていたり、意見がうまく伝えられない女性社員が多数いることに気が付いたという。WISEは全社的なプログラムなので、ネットワークやコミュニティ活動を通して情報を交換できる。他の部署にメンターができ、前向きになれた女性社員も数多く見てきたそうだ。

 小野氏はDWEN参加を機に、勤務20年目にして初めて米国本社を訪れた。そのときに、自分と年齢がそう変わらない本社の幹部が、堂々としたスピーチをしているのを見て、ショックを受けたという。社会人になって、最初に入った会社からデルに転職し、結婚もした。マネジメント職として多くの経験もしてきた。しかし、成長の余地はまだまだある。

 “小野さんは10年後も仕事をしていると思いますか?”――そう聞くと、迷うことなく「もちろん」と笑顔が返ってきた。

photo DWENではさまざまな女性社員のパネルディスカッションなども行われた
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