なぜ世の中に悪い人は少なく、いい人が多いのか仕事をしたら“動物”のことが分かってきた(前編)(8/8 ページ)

» 2014年08月13日 08時13分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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これから「いい人」になります(笑)

竹内: 「やられたら、やり返す」という戦略です。自分から決して裏切らず、相手が「裏切り」のカードを出してきた、その次の回に「裏切り」を出す。このとき、相手が「協調」のカードを出してきたら、しつこく仕返しはせず、次の回には「協調」を出す。その後も、同じことの繰り返しです。

 たまたま、こうした優しい戦略を選んだ人が優勝したのかなあと思って、上位にランクインした人の戦略を調べてみました。すると、半分ほどは「自分から裏切らないタイプ」でした。一方、下位には「自分から裏切ることがあるタイプ」が占めました。

 このゲームで効率よく点数を稼ぐためには、いかに2人が“協調し合う”ことができるかがポイントなんですよ。2人が協調を続けた期間が長ければ長いほど、最終的に勝つことができます。このことは、人間社会にもあてはめることができるのではないでしょうか。人間社会には「悪い人」がいますが、それほど多くない。むしろ「いい人」のほうが圧倒的に多い。なぜか。それは「いい人」でいるほうが、トクをするから。

土肥: これから「いい人」になります(笑)。

竹内: 「囚人のジレンマ」ゲームでも、1回勝負であれば、裏切らないタイプが負ける可能性が高い。しかし、何度も何度も戦うことになれば、裏切らないタイプが勝つ。人間社会でも同じですよね。1回限り、短い付き合いであれば、いい人がバカを見ることがあります。しかし、長く付き合っていくと、悪い人は信頼を失い、ソンをする可能性が高くなる。一方、いい人は信頼を得て、トクをする可能性が高くなる。

土肥: なるほど。あと、必要以上に仕返しをしないということですね。昨年、ドラマ『半沢直樹』が大ヒットしました。主人公の決めゼリフは「倍返しだ!」「10倍返しだ!」でしたが、賢い選択は「1倍返し」なわけですね(笑)。

竹内: やられた分だけ返す、ですね(笑)。

つづく

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