「カメムシ食え」高校球児のイジメ問題、高野連の闇臼北信行のスポーツ裏ネタ通信(2/4 ページ)

» 2014年08月21日 08時00分 公開
[ 臼北信行,Business Media 誠]

「伝統」として受け入れなければならない体制

 こういう高校野球部の暴力やイジメ行為は、寮や合宿所で起こるケースが多い。寝食をともにすることで先輩後輩の間に強固な主従関係が芽生えやすくなり、それを部員たちが「伝統」として受け入れなければならない体制が当たり前のように敷かれているからだ。

 先輩の買い物や洗濯、用具磨きは1年生にとって当然の日課。夜中でも叩き起こされ、先輩の部屋まで呼び出されて「疲れているからやれ」とマッサージさせられるなどの話は、高校野球を取材しているとよく耳にするエピソードだ。全否定はしない。が、こういう寮や合宿所内での主従関係は、エスカレートすると事件へと発展しかねない。

 2013年8月には鹿児島城西高校野球部の2年生を含む4人が、寮の浴場で1年生の下半身に熱湯をかけて大やけどを負わせていたことが明るみに出た。被害にあった部員は当時、保護者に連絡しようとしたところ携帯電話を取り上げられて「やけどした理由は、股ずれしたことにしておけ」と口裏合わせまで強制させられていた。保護者は警察に被害届を出したが、それだけで問題全般が丸く収まるはずもない。

 春夏合わせて7度の全国制覇を誇る大阪のPL学園も過去に不祥事を起こしている。最近も2013年2月に、2年生部員による計画的な暴力・イジメ行為により、1年生部員がけいれんを起こすほど負傷。病院へ搬送される騒動を起こした。PL学園は暴力行為を抑制するため、2014年現在は野球部だけの寮を廃止し、野球部員の入寮者も他の部員と同じ寮で生活させる対処とした。ただ、大阪の高校球界関係者の間では「それでも悪しき伝統は完全に払拭されたとは言い切れない」ともっぱらだ。

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