高校野球の名門校で暴力やイジメ行為が横行する背景は何か。一部の部員に入学前から「特権」を与えていることが大きなマイナス要素となっている感は否めない。高校野球の強豪校がこぞって取り入れる「特待生制度」だ。
高野連は、学費免除などを“うたい文句”にする特待生制度や野球留学制度を基本的には禁じている。ただ、実際のところは大半の名門校で採用されているのが現状だ。中にはえげつない選手集めを行う学校もある。ふたを開けてみるとレギュラーメンバーのほとんどが学校の所在地でない県外からスカウトしてきた特待生選手、もしくは野球留学生選手というケースも珍しくない。
素行や学力など、本来ならば入学の際に十分に考慮しなければならない要素は二の次に、野球のうまい中学生だけをターゲットにしてかき集めると、どんなリスクがあるか。生徒集めのため、「甲子園出場」を宣伝材料に“暴走”する高校経営陣には、どこかで誰かが歯止めをかけなければならない。
プロ野球の埼玉西武ライオンズによる裏金問題が発覚した2007年、高校球界でも特待生制度や野球留学が問題視されるようになり、高野連が抜本的な改革に動こうとしたことはあった。それでも結局は断を下せずに「1学年5人以下が望ましい」との条件付きで容認してしまっている。もちろん経済的な理由を抱える家庭もある。特待生や留学生制度は必ずしも悪ではない。ただ、問題を棚上げにしたままの高野連にも、相次ぐ高校野球部員の不祥事の病巣があると言っていいだろう。
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