本連載は、米山公啓著、書籍『脳を強くする56の習慣』(中経出版)から一部抜粋、編集しています。
最近、うっかり用事を忘れることが増えた、発想がどうもマンネリだ――あなたにも心当たりはありませんか?
「自分はまだまだ大丈夫」と思っていても、家族や周りの人が認知症や脳梗塞になった途端、他人事ではすまなくなります。
では、「強い脳」とは何でしょうか? 記憶力や集中力が高く、さらには豊かな創造性を発揮する脳のことをいいます。まずは動脈硬化にならない、健康であることが「強い脳」への第一歩です。
本書では医学博士の米山公啓氏が、最新の知見をもとに脳を「強くする」習慣を紹介します。
「1日3杯のコーヒー習慣」「新作映画を映画館で観る」などの、強い脳をつくる、日常生活でちょっとひと工夫すれば実践できるものばかりです。さあ、あなたも今日から始めてみませんか。
香りと記憶の関係は、以前からいろいろと研究されてきました。というのも、記憶と香りは結びつきやすいという経験があるからでしょう。
夕飯時に食事を作る香りが漂ってくると、自分が子どものとき母親が作ってくれた夕飯を思い出したりするものです。それも特定の香りでは、一瞬に記憶が呼び覚まされます。
香りは記憶を引き出すものですから、何か物事を記憶する際に香りを結びつければ思い出しやすくなる――つまり、記憶力がアップするのではないかと考えるのも自然でしょう。
英国ノーザンブリア大学の研究によれば、一方の部屋にのみローズマリーのアロマオイルを漂わせて記憶力テストを行ったところ、アロマオイルを嗅いだグループのほうが長期的な記憶力がおよそ6〜7割ほどアップしたとしています。
また、リューベック大学の研究チームは、74人の学生にコンピューター上で神経衰弱を行わせ、記憶力を検査しました。神経衰弱を一度やってカードの配列を確認させて、一晩眠ったあとにもう一度行い、どの程度正確に覚えているかを測定しました。
一度目の神経衰弱をするときに部屋の中をバラの香りで満たし、眠っている間にもう一度バラの香りを嗅がせます。レム睡眠中にバラの香りを嗅がせたグループと、ノンレム睡眠中にバラの香りを嗅がせたグループの2つに分けると、ノンレム睡眠中にバラの香りを嗅いだグループは正答率が97%だったのに対し、バラの香りなしのグループは86%だったのです。
これはバラの香りそのものが、記憶力をアップさせるというより、記憶は何かと結びつけたほうが、その力がアップするということなのです。実験でもバラの香りと記憶を結びつけることで、バラの香りによって思い出しやすくなったと考えるべきでしょう。
どうしても特定の香りが記憶力をアップさせると考えたくなりますが、確実に記憶力そのものをアップさせる香りはまだ見つかっていません。
何かと結びつけて記憶するほうが、単純に記憶するより、結果はよくなるということでしょう。自分の好きな香りをテスト勉強のときに漂わせておいて、その香りの中で眠れば、いい結果が得られるかもしれません。
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