生産台数9000万台超! ホンダのスーパーカブがスゴい仕事をしたら“世界で”売れた(6/7 ページ)

» 2014年10月29日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

「白色」の作業着を着用

米国の広告史に残るホンダのキャンペーン「ナイセスト・ピープル」。米国民が抱いていたオートバイのイメージを大きく変えた

土肥: スーパーカブは日本で売れて、米国でも売れて、南米でも売れて、東南アジアでも売れました。現在、14カ国で生産されていて、160以上の国と地域で販売されてきたわけですが、生産するうえで大変なことは何でしょうか?

広報: やはり「品質」ですね。どの国でつくっても同じ品質を保たなければいけません。しかし、これが難しい。

 スーパーカブは数千点の部品でできていて、組み立てる際には当然マニュアルがあります。例えば、「このネジをしめるのにはこのチカラで……」などと書いています。そのチカラは強すぎても弱過ぎてもダメなんですが、強くしめ過ぎるとどうなるのか。完成したスーパーカブの見た目は他と同じなのですが、乗ってみると違う。「ちょっと真っすぐ走らないなあ」「ちょっとヘンな音がするなあ」といった感じで。

 バイクを製造するにあたって、機械がすべてをつくってくれるわけではありません。手作業による部分はたくさんあるので、品質を保つために、現場の研修はきっちりとやっていかなければいけません。

土肥: なるほど。現場といえば、ホンダの工場で働く人って、白色の作業着を着ていますよね。

広報: 実は、この「白色」にも意味があるんですよ。工場で作業をしていると、どうしても汚れる。しかも白色だと汚れが目立ちますよね。

土肥: その汚れを見て「あー、今日もよく働いた」と感じるためですか?

広報: 逆ですね。汚してはいけないんですよ。新人は技術的にまだまだ未熟なので、どうしても汚してしまう。同じ仕事をしていても、先輩の作業着はキレイなんですよ。汚れているということは、新人の作業に“ムダ”な動きがあることなんですよ。なので、上司に「なぜ作業着がそんなに汚れるんだ!」と怒られるわけです(苦笑)。

土肥: それは分かりやすい。新人は「早く一人前になるために、作業着を汚さないようにしよう」となるわけですね。

1962年に米国で生まれた「CA100」

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