「妖怪ウォッチ」クロスメディア戦略の功と罪ヒットの裏側ニャン!(1/3 ページ)

» 2014年11月27日 06時00分 公開
[深澤祐援,Credo]
Credo

 妖怪ウォッチは、ゲーム開発会社レベルファイブが手掛けたゲームソフト、およびそのアニメや漫画のことを指します。ゲームソフトとしては、2013年7月に1作目の“妖怪ウォッチ”が発売されました。

ある日、妖怪執事ウィスパーと出会い、妖怪を見ることのできる妖怪ウォッチを手に入れた主人公が、至る所に出没する妖怪達と友達になり、彼らと協力し、町の人々の悩み・問題を解決しながら物語の裏に潜む謎に迫る。
(公式サイトから引用)

 妖怪ウォッチは2014年夏に続編である妖怪ウォッチ2(本家/元祖)を発売しました。2014年11月19日時点でニンテンドー3DS歴代ソフトにおいて、1位のポケットモンスターX・Y(累計販売444万459本、2013年10月12日発売)、2位のとびだせどうぶつの森(累計販売419万4911本、2012年11月08日発売)、3位のモンスターハンター4(累計販売353万2662本、2013年09月14日発売)、これらのタイトルに続いて次回作の妖怪ウォッチ2(本家/元祖)はわずか4か月で歴代4位の売上本数に到達しています(累計販売286万2387本、2014年07月10日発売)。

 なぜ、妖怪ウォッチはここまでのヒット作となったのでしょうか。このヒットの裏にはゲーム開発会社レベルファイブのクロスメディア戦略があると考えられます。

レベルファイブが核とするクロスメディア戦略

 クロスメディア戦略とはゲームソフト以外にも漫画やアニメ、グッズなどさまざまな形でIP(Intellectual Property=自社オリジナル商品)を展開させる戦略のことを指します。

 ゲームソフトからさまざまなメディアに展開した有名な例として挙げられるのは「ポケモン」ですが、ポケモンがゲームソフトとして発売された1996年2月から1年あまり経った1997年4月にテレビアニメの放映がスタートしたのに対して、妖怪ウォッチはゲームソフト発売以前から、すでにアニメ、漫画での展開が織り込み済みでした。

 2013年7月にゲームソフトとして「妖怪ウォッチ」が発売された後、2014年1月からアニメ、また「月刊コロコロコミック」、「ちゃお」などのコミック展開も始まり、同時期に発売されたグッズ「妖怪メダル」は売り切れ寸前になるほどの人気ぶりを見せました。

 レベルファイブはそれ以前にも「イナズマイレブン」や「ダンボール戦機」などのタイトルでゲームソフトやコミック、アニメ、グッズといった多角的展開を行って成功してきた実績があり、妖怪ウォッチではそれまでに培ったノウハウを生かしたと言えるのではないでしょうか。

 また、プレイヤータイプの分類という観点からも、クロスメディア戦略の優位性を確認することができます。

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