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» 2014年12月09日 08時00分 公開

窪田順生の時事日想:イケアは何を間違ったのか 地図表記を巡って大騒動 (3/4)

[窪田順生,Business Media 誠]

クレームがきたら屈する企業

 では、イケアはどうか。「単なる地図でしょ」と突っぱることなく、自分たちのスタンスを伝えることもなく、韓国では売る予定がないことを繰り返すという釈明に追われた。これはマズい。まともなクレームならいざ知らず、イデオロギー丸出しの理不尽な要求に対して、このように腰が引けた対応は事態を悪化させる。企業として譲れない「一線」を示していないということは、これから戦争を始めようというのに守るべき防衛線を定めていないということに等しいからだ。

 防衛線がなければ、侵略者というのはズカズカと土足で入り込んでくる。韓国で売ってなければいいのか、世界中で「日本海」という表記があるってのは問題だろ、とかなんとかどんどん要求をエスカレートするわけだ。

 そんな恫喝に押されてジリジリと後ずさりする最中、イケア側は問題の製品がラインナップから除外されると発表した。「たまたまです」とイケアは説明するが、この劣勢でそんなことを言われたら普通は「いやいや、クレームに屈したんでしょ」と思う。バーガーキングのアルバイトが大量のバンズの上で寝そべっているバカッター画像が拡散して炎上した際、同社は「あれはちょうど廃棄予定だったんですよ」としたが、これと同じくらいイケアの釈明は説得力に欠ける。

 韓国で鎮火しても日本で「反日企業だ」とあらぬ風評がたってしまったことに加え、「理不尽な要求がきたらすぐに白旗をあげてしまう企業」というイメージがついてしまった。

 結果、イケアはどうなったかといえば、「韓国に屈した」とか「反日企業だ」などとあらぬ誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)を受けるだけではなく、クレームがきたら屈する企業というイメージがついてしまった。

 いや、Benjamins社だって屈しただろと思うかもしれないが、彼らの場合は最初に「単なる地図でしょ」と強気の防衛ラインを定め、そこから韓国ネットユーザーの執拗(しつよう)なサイト攻撃を受けて、いたしかたなく「撤退」という判断をした。確かに「負け」ではあるが、少なくとも「理不尽な要求に毅然とした態度でのぞむ」という企業姿勢を世に示すことができた。そういう意味では、イケアの敗北とは「負け」の意味が違う。

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