なぜ人が集まる? 2014年に人気上昇した都道府県を鉄道目線で斬る杉山淳一の時事日想(5/5 ページ)

» 2014年12月19日 08時00分 公開
[杉山淳一Business Media 誠]
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8位:大分県

 湯布院・別府温泉などの温泉を擁する大分県。楽天トラベルの説明でようやく鉄道ネタが紹介された。「ななつ星を見に訪れる鉄道ファンで『湯布院』駅がにぎわっています」とのことだ。「ななつ星 in 九州」そのものは乗客定員が少ないため、観光人員の上昇には寄与しにくい。しかし、1周年を迎えたななつ星 in 九州は、デビューからずっとテレビや雑誌などで紹介されている。ななつ星 in 九州関連の立ち寄り先のPRに貢献していると言えそうだ。また、中津城は、先述した熊本城と同じく軍師官兵衛のゆかりの地である。

9位:栃木県

 日光は世界文化遺産認定から15周年となった定番の観光地である。楽天トラベルによると、那須高原は「動物とのふれあい・温泉・自然スポット・アウトレット・遊園地まで揃うリゾート地」としてファミリー層に人気だという。動物とのふれあいという意味で、人気急上昇のアルパカを集めた「アルパカ牧場 那須ビッグファーム」がある。私の注目はイチゴ。水分が多く出荷に耐えられない「とちひめ」は、地元でのイチゴ狩りに行かないと食べられない。

 鉄道ネタとしては、2014年3月から烏山線で画期的な蓄電池駆動電車「ACCUM」の運行が開始した。真岡鐵道ではSL列車が走り、2013年に真岡駅隣接地でミニ鉄道博物館「キューロク館」がオープンしている。

10位:兵庫県

 “天空の城”、竹田城の人気が根強い。そのブームは2012年の高倉健主演映画「あなたへ」の登場でピークに達した。天空の城というキーワードでは、宮崎アニメ「天空の城ラピュタ」も根強い人気。竹田城は幅広い世代にとって「行きたいところ」に挙げられたようだ。来訪者の急増によってゴミ問題や迷惑駐車問題が発生、管理費用がかさみ、2013年10月から入城料金の徴収が始まり、2014年から史跡保護のため冬季は全面入城禁止となったという。

 竹田城は鉄道にも好影響のようで、最寄り駅は播但線の竹田駅。この路線は大阪と兵庫の日本海側を結ぶ特急「はまかぜ」が通る。JR西日本は竹田城観光の人気を受けて、竹田駅に「はまかぜ」定期列車3往復のうち2往復を臨時停車させている。

 兵庫と言えば姫路城も「平成の大修理」が実施されており、真っ白な天守閣が姿を現した。こちらは2015年3月から一般公開が再開される予定だ。来年も同様の調査があるならランクアップの可能性がある。

番外編

 楽天トラベルのほかのランキングも興味深い。「旅行好きが選ぶ、オススメローカル列車ランキング」は異論なし。どの路線もオススメ。そして「2014年、年末年始国内旅行ランキング」を見て安心した。四国4県のうち、高知県が5位、徳島県が8位、愛媛県が10位に入っていた。よかったよかった。(初稿で徳島県を見落としていました。徳島の皆さんごめんなさい。私は阿波尾鶏大好きです!)

オススメローカル列車ランキング(左:数字は得票数)と、年末年始国内旅行ランキング(数字は対前年比上昇率) オススメローカル列車ランキング(左:数字は得票数)と、年末年始国内旅行ランキング(数字は対前年比上昇率)

 それにしても、このランキングは旅のヒントがいっぱいだ。このランキングを見たら、またどこかへ出掛けたくなった。来年はどこへ行こうか。



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