サッカー・アギーレ監督を解任すれば、どんな“二次災害”が待っているのか赤坂8丁目発 スポーツ246(3/5 ページ)

» 2015年01月22日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

早期解任に対しては慎重

 これまで歴代の日本代表監督はスポンサー企業のテレビCMやネット及び紙(誌)面上広告に登場したり、あるいは自社の販売商品に自らの顔写真が使われたりしたことが当たり前のように多々あったが、アギーレ監督の場合は「NG」。疑惑が残るグレーである限り、まず起用は無理だろう。単純にこれだけで考えてもスポンサー企業にとっては、かなりのマイナス材料となる。

 日本代表オフィシャルスポンサーの某大手企業関係者は「あくまでも、会社の総意ではなく私個人の意見ですが」と前置きしながらも、次のように強い口調で本音を打ち明けた。

 「アギーレ監督の有罪が証明されることになれば、それこそ最悪のシナリオ。代表チームにカネを払っていたことで世間から『あの企業は犯罪者の監督に加担していたのか』と見られてしまうのが我々としては最も痛い。

 世の中の人のほとんどはサッカーファンのようにこの騒動のてん末を理解しているわけではないですからね。そうなってからでは、もう遅い。アギーレ監督の去就に関しては“疑わしきは罰せず”ではなく“疑わしきは罰する”の姿勢であってほしい。だからシロかクロかの結論が出るまで待ってはいられないでしょう。とにかくJFAの幹部の方々には、そう切に願います」 

 こうしたスポンサー企業側の主張は至極当然であり、早期の解任を求めるのも無理はない。しかし間違ってはいけないのが、まだアギーレ監督の罪は立証されたわけではないという点である。スペイン検察庁の告発をバレンシア裁判所が受理したことで日本の一部メディアの報道はさも「アギーレ監督=犯罪者」のような論調になっているが、濃厚と見られている起訴についてもまだ正式に決まったわけではなく審理上の流れで言えば初期の段階。

 JFA側には「裁判所へ出頭することになりそうな2月は代表監督としてのスケジュールが組まれていない。そう考えると現段階でアギーレ監督が職務に支障をきたしているとは言い切れず、それを理由に“クビ”を宣告することは難しいだろう」(JFA関係者)という意見が大勢を占めており、今のところ幹部たちは指揮官の早期解任に対して慎重にならざるを得ないようだ。

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