シンガポールのLCC、Scootの取材のため(参考記事)、米国シアトルを訪れていた1月下旬のこと。米国有数の航空博物館「ミュージアム・オブ・フライト(The Museum of Flight)」を見学していたら、館内の係員から「明日の朝、ちょっと珍しいことがあるよ」と聞いたので、早起きして見学にいくことにしました。たしかにとても珍しく面白かったので、本記事でご紹介します。
シアトルはボーイングの工場が複数あり、空港も4つもあり……と、飛行機好きにとっては聖地ともいえる街。4つある空港の一つが、キング・カウンティー国際空港、通称「ボーイングフィールド」。ここはボーイングの工場で作られて、航空会社に引き渡される前、できたてピカピカの飛行機が飛び交う珍しい空港なのです。
ミュージアム・オブ・フライトは、このボーイングフィールドにある、ボーイング関連施設の一つ。航空・宇宙関連の展示が充実した博物館で、旅客機や戦闘機などさまざまな飛行機の実物が見学でき、一部は機内も見学できる……というのがポイントです。
ミュージアム・オブ・フライトの建物の横には、さまざまな貴重な飛行機(実機)が屋外展示されています。今回はこのうち、超音速旅客機 コンコルド、米国の大統領専用機 エアフォースワン、ロッキードの大型プロペラ旅客機 コンステレーションの3機がお引っ越し。博物館の前にある一般道を渡り、道路の反対側へ移動するというのです。
1月31日午前8時。霧が立ちこめる中で作業がスタートしました。日本ならおそらく事前に通行止めの通達があり、警察官が出動して交通整理……ということになりそうですが、特に道路が通行止めになることもなく普段通り。私も宿泊していたホテルからミュージアム・オブ・フライトの前まで、普通にタクシーに乗ってやってきたくらいです。
予定よりやや遅れて、牽引車が登場。道路を渡ってコンコルド(ブリティッシュ・エアウェイズ塗装)の近くに行き、機体を引っ張ります。
頃合いを見計らって、「STOP」と書かれた標識を持った係員が登場。車線の両側で一時的にクルマを止めます。
見物客や、一時停止中のクルマが見守る中、コンコルドがけん引車に引っ張られながら道路を横断していきます。
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