あのゴジラをも説き伏せた、DeNA中畑監督の「力」赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2015年02月12日 08時00分 公開
[臼北信行,Business Media 誠]

中畑監督の交渉力は「スゴい」

 かなり強引ではあるにせよ、DeNAキャンプ視察を一貫して拒否していた松井氏を説き伏せてしまったのだから中畑監督の交渉力にはとにかく脱帽するばかり。「スゴい」の一言である。

 「中畑さんと接していると、どうもあのノリと勢いに飲み込まれてしまうんだよね。それで気がついてみると、向こうのペースになっている。でもどこか憎めない人なんだ。やっぱり裏表がない人だからだろうね。誰にもマネできない、とても摩訶不思議な力の持ち主だと思う」と中畑監督を評したのは、その松井氏である。 

 ちなみに中畑監督は松井氏がルーキーイヤーだった1993年のシーズンから2年間に渡って巨人の打撃コーチを務めており、両者はいわば師弟関係。それでも松井氏は「中畑監督? 師匠ではないけれど友だちです」とニヤリとしながら言い切っている。もちろんこれは半分冗談のコメントではあるが、逆に言えば中畑監督と松井氏がまるで友だち同士のように堅苦しくない、気さくな関係性だったからこそ今回のキャンプ視察が実現したとも確かに言える。

 同じく松井氏が当初難色を示していたキャンプ視察中のフリー打撃実演プランに関しても、タフネゴシエーターである中畑監督は自らのゴリ押しによって、まんまと実現させてしまった。これも松井氏と中畑監督がフランクな間柄であったことが結果としてプラスに働いたと見ていいだろう。

 「中畑監督は上から目線でモノを言わない。基本的にどんな相手に対しても友だちのように気さくに接するのがポリシー。選手に指示する時も、ただ単に『ああしろ』『こうしろ』という言い方はせず、時にユーモアを交えたりしながらピリピリとした雰囲気を作らないようにすることを心がけている。

 しかし、そうかと言って中畑監督は選手に甘い顔ばかりしているわけではもちろんないですよ。必要とあらば、烈火のごとく怒ってカミナリを落とすこともある。でも、むやみやたらとガミガミする必要なんてないでしょう。どうせならば楽しくやろうじゃないかと監督が考えているから、とにかくウチのチームはムードがいいんです。

 そういうフレンドリーな中畑マジックの真骨頂を松井さんも改めて体感されたのではないでしょうか。だからウチのキャンプの視察に来てくれたのでしょうし、巨人のキャンプにいる時よりも笑顔が多かったように見えたのは中畑監督と触れ合うことができた松井さんの素直な喜びだったのだと我々は思います」(DeNA関係者)

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