国内プロ野球、メジャーリーグを中心に取材活動を続けているスポーツライター。セ・パ各12球団の主力選手や米国で活躍するメジャーリーガーにこれまで何度も「体当たり」でコメントを引き出し、独自ネタを収集することをモットーとしている。
野球以外にもサッカーや格闘技、アマチュアスポーツを含めさまざまなジャンルのスポーツ取材歴があり、WBC(2006年第1回から2013年第3回まで全大会)やサッカーW杯(1998年・フランス、2002年・日韓共催、2006年・ドイツ)、五輪(2004年アテネ、2008年北京)など数々の国際大会の取材現場へも頻繁に足を運んでいる。
横浜DeNAベイスターズの中畑清監督が沖縄・宜野湾キャンプで存在感を見せている。今季は就任4年目。今年こそBクラスから脱して悲願のVを果たすため、キャンプ初日から精力的に動いてチームの面々に熱い指導を行っている。
そうした中、指揮官が1人で推し進めた斬新なプランが実現した。2月5日から7日までの3日間、ヤンキースや巨人などで活躍した松井秀喜氏が宜野湾キャンプを視察。同氏が所属していた球団以外の春季キャンプ地を訪れたのは初めてだったことから、大きな話題を呼んだ。オファーをかけたのは他ならぬ中畑監督だった。
実を言えば松井氏は当初、オファーを受けてもDeNAのキャンプ視察に行くつもりはまったくなかった。古巣・巨人からも昨年に続いて宮崎春季キャンプでの臨時コーチ就任の執拗(しつよう)なオファーを再三に渡って受けていたものの多忙を理由にキッパリと断っていた手前もある。しかし、中畑監督は諦めなかった。両者に近い関係者の話を総合すると、中畑監督が松井氏の携帯電話に連絡を入れた回数は実に12回。「NO」と言い続ける松井氏を“陥落”させた最後のやり取りは、次のような内容だったという。
「今年は巨人(のキャンプ)にも行かないんですから……。いくら中畑さんのお願いでも、さすがにベイスターズには行けないですよ」
「オマエ、何言っているんだ? オレがどれだけお世話したと思ってるんだよ。四の五の言わず、オレの胸に飛び込んでくればいいじゃん」
「いやいや、中畑さんの胸に飛び込めって言われましても……」
「大船に乗った気持ちで来てくれればいい。もう、ただ見ているだけでいいんだよ。それだったら、話は早いだろう。ヨシ、もう来るってことだな。待っているからな。オレはオマエがもう来てくれるつもりで準備をしておくからな。頼むぞ!」
「う〜ん……」
「う〜んじゃないよ! ハイ、返事!」
「もう……。分かりましたよ! 参りました。ボクの負けです……。それでは、お世話になりますんでよろしくお願いします」
「それでこそ、やっぱりゴジ(松井氏)だな。さすが国民栄誉賞だ。沖縄の人たちも、みんなきっと喜ぶぞ!」
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