民間企業「アクセルスペース」の人工衛星が、ものすごく安い理由仕事をしたら“宇宙”に飛んだ(前編)(3/6 ページ)

» 2015年03月04日 08時00分 公開
[土肥義則Business Media 誠]

秋葉原で部品を購入

ロケットの組み上げ作業。人工衛星が搭載されたSHM (Space Head Module) という部分にロケットのフェアリング(衛星を保護するカバー)を取り付けているところ

中村: 最初は知識がなかったので、既存の技術を調べました。「なるほど、こうした仕組みでできているのか。じゃあ、自分たちも同じように……」といった感じで。NASAやJAXAなどの宇宙機関がこれまで築き上げてきた“ザ・スタンダード”のつくり方を取り入れました。そうすると、高額な部品を使わなければいけないことが分かってきました。なぜ高額になるかというと「この試験に合格して、あの試験に合格して」といった感じで、さまざまな基準をクリアーしなければいけないので、価格がどうしても高くなってしまうんですよね。

 一方の大学はお金がない。いくつもの試験に合格した高い部品は使えないので、秋葉原の家電量販店などで売っている部品を買ってきて、それを使いました。

土肥: ははは。そんなことができるのですか?

中村: その部品を使って、実際に打ち上げに成功しました。しかし、国家プロジェクトでつくられた人工衛星にそんな部品は使えません。誰がつくったのか分からないようなモノを使うわけにはいかない。ただ、実際に使えないわけではないんですよ。“使ってはいけない”と決まっているから使えないだけ。私たちは、NASA流、JAXA流といった既成概念を気にせず、使えるモノは使うといった姿勢でつくってきました。

 もちろん、たくさんの失敗をしてきました。そうした経験の中で「高額な部品を使わなくても宇宙で動く」ということを学んできました。

土肥: 飛ばしながら考えて、その中で必要なモノを見極めていった?

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.