1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。
いよいよこの4月から「機能性表示制度」が施行される。科学的根拠のある成分を含んだ食品に関して、企業が自身の責任のもとで申請を行えば、ガイドラインに沿った形で「機能」をうたうことが認められるのだ。
そう聞いても大半の人たちはピンとこないかもしれない。「ふーん、でも食べ物の何が良いなんて昔からやってるじゃない」と思う人も多いだろう。
確かにこれまでテレビで納豆で血液がサラサラになるだとか、ホニャララで免疫力が上がるだとかいう食品や栄養成分の「機能」を取り上げており、放映された食材が飛ぶように売れて一時的に品薄になるなんて“ブーム”もたびたび繰り返されている。グリーンスムージー(生の葉野菜とフルーツと水をミキサーで混ぜ合わせたジュース)やらマクロビオティック(日本の伝統食をベースとした食事を摂ること)やらという言葉が巷に溢れている今、一般の方からすれば、「認めるも認めないも、食品に機能があるのは当然でしょ」というのが正直なところだろう。
ただ、そんな今さらなことが、この国の事業者には長らく「アウト」とされてきた。意地悪されていたとかではない。薬事法によって口に含むもので「効果効能」がうたえるのは医薬品のみとビシッと線が引かれていたからだ。
いやいや、確かトクホ(特定保健用食品)があったでしょと思うかもしれないが、1991年にできたこの制度は多額の費用をかけて認可を受けなければいけないハードルの高さもさることながら、「お腹の調子を整える」とか限定したぼんやりとした「機能」しかうたえなかったので、機能性食品という意味ではほど遠いものになっていた。
つまり、法律的には「機能をうたえる食品なんてありませんよ」という建前のなかで、メディアでは「○○を食べると血圧が下がる」とか「○○には驚きの効果が」なんて話がじゃんじゃん取り上げられ、国民生活ではさまざまな「機能性食品」が流通する、というきわめて日本社会的なダブルスタンダードができあがってしまったわけだ。
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