まず、一番変わるのは消費者の「選択の幅」が広がるということだが、実は健康食品業界にいる悪質業者を淘汰する効果も期待できる。
今回の制度は表示をうたうためにかなり専門的なシステマティクレビュー(以下、SR)という手法を使わなければいけない。つまり、この水準をクリアできない企業が、「機能」をうたえないのだから、いかがわしい根拠をうたう製品から消費者を遠ざけることができる。SRを運用していくため、個々の企業は否応なしに研究や知識を積み上げていく必要に迫られるので、こちらも長い目で見れば消費者にとって悪い話ではない。
さらに、今回の規制緩和がうまく運用されていけば景気にも良い影響を与えることができる。現在、2兆円規模になったといわれる健康食品市場が大きく成長できることは言うまでもないが、サプリメントなどを置くドラッグストアやスーパー、コンビニにも当然、その恩恵はある。
実際に、経済産業省が2014年11月から催している「セルフメディケーション推進に向けたドラッグストアのあり方に関する研究会」が今月13日に公表した資料には、機能性表示食品によって「新たなマーケットの創出」になると明文化されている。
さらに、急増するインバウンドとて無関係ではない。2015年10月1日にこれまで免税対象から除かれていた食品類、飲料類、薬品類などの消耗品が免税対象となる。すでに銀座のデパートで中国人観光客が日本の化粧品などを「爆買」し、アキバで家電を土産にしているが、ゆくゆくは機能をうたう食品や、健康食品が外国人観光客の「目玉」になる可能性もなくはないのだ。
それはいくらなんでも大風呂敷広げ過ぎじゃないと思うかもしれないが、ユネスコ世界遺産にも認定された「和食」の海外における評価を見れば、あながち夢物語でもないのだ。
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