「和食」にも活用? 食品が「機能」をうたえると世の中はどう変わる窪田順生の時事日想(2/4 ページ)

» 2015年03月17日 08時16分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

法律と国民感覚のギャップ

 そんな状況に一石を投じたのが、安倍首相による成長戦略第3弾スピーチだ。ここで「機能性表示を解禁して、世界で最も進んだ規制緩和にします」と宣言をしたことで、一気に「解禁」へ向けて走り出したのである。

 トクホ以前から機能をうたいたくても口ごもるしかなかった食品業界、特に健康食品業界からすればまさしく「30年来の悲願」ともいえる今回の制度。実際の運用にはまだまだ不透明の部分はあるが、「大きな一歩」として好意的にとらえるが企業も多い。

 例えば、会員企業に健康食品メーカーが多く在籍する公益財団法人 日本通信販売協会などは3月24日に、「『機能性表示食品制度』前夜祭」という業界が抱く期待の大きさを象徴するようなビックイベントが有明で予定されている。当日は消費者庁食品表示企画課を招き、ガイドラインについて「徹底解説」を行うほか、特典として参加者には後に「機能性表示制度ガイドライン解説書」が渡されるという。業界一丸となってこの制度をしっかりと運用することで、健康食品の信頼性向上へと結びつけようという強い思いが感じられる。

 ただ、そんな熱気ムンムンの業界とは対照的に、消費者側はお世辞にも盛り上がっているとは言い難い。というよりも、そもそもこの制度自体を知らないという人が圧倒的に多いのだ。40代女性を対象にした調査でも、この「機能性表示制度」の内容を理解しているという人は全体の6.0%にとどまっており、言葉のみ知っている人の割合(37.5%)を含めても43.5%と半数以下となっている。

 この温度差には、先ほども述べたような法律と国民感覚のギャップもあることながら、この制度が消費者にどんなメリットがあって、生活がどう変わるのかというイメージがつかないということが大きい。しかし、個人的にはかなりガラリと変わる可能性もあると思っている。

「機能性表示制度」の内容を理解している人はわずか6.0%(出典:クロスマーケティング)

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