また、こんなニュースもありました。覚えている人もいるのではないでしょうか?
大学を卒業するためには「単位」が必要です。そこで、大学生協東京事業連合が「単位パン」を商品化したというニュースでした。
「えっ? パンって、あの食べるパン?」
そうです。パンの表面に「単位」という焼印がしてある、食べるパンです。その単位パンは、東京大学や慶応義塾大学、早稲田大学などの生協で販売されて、初日で売り切れが続出しました。まあ、税込み108円で「単位」を買うことができるということで、学生が面白がって買ったのでしょう。
その開発のきっかけは、生協のお店に届く「一言カード」だそうです。
学生さんからさまざまな要望や意見、人生相談なんかも書き込まれるというその「一言カード」に、「生協で単位を売ってください」というコメントが寄せられたそうです。
これが、百貨店やスーパーに届いた「お客さまアンケート用紙」だったらどうなっていたでしょうか? もしかしたら「無視」されていたかもしれません。私なら、「売ってあげたいけれど、できないなぁ。ごめんなさい」と、笑って終わらせていたと思うのです。
しかし、大学生協東京事業連合は違いました。こうした現場で日常的に起こる「ごめんなさい」という情報を、経営に役立てる仕組みを持っていることはすばらしいと思います。
ほかにも、ある建材会社では「ここに車を置いていいですか?」「ごめんなさい。そこは管理地なのでダメです」という会話からコインパーキングができました。
本当に世の中には、こんな宝の山のような情報がたくさん埋もれているのです。
しかし、残念なことにほとんどの会社には、営業マンがお客さんに言った「ごめんなさい」を報告するルールなんて存在しません。だから、新規事業のアイデアを出すのが下手なのです。
営業マンは、「ごめんなさい情報のアンテナ係」として情報収集をすべきです。そして期が熟したときに、その情報をぜひ活用してほしいのです。
それこそ、営業マンが会社の長期的な経営に大いに役立つ瞬間なのです。
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