クロネコヤマトがマレーシアで快進撃の理由東南アジア発、気になるニッポン企業(4/4 ページ)

» 2015年07月07日 08時00分 公開
[野本響子ITmedia]
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マレーシアに広がる「ヤマト流安全教育」

 マレーシアヤマトが提唱するドライバーの地位向上には他社も注目している。「ドライバーのレベルを上げたいので、協力していただけないか」という声も出てきた。

 なかでも、業界が注目しているのは「安全教育」だ。マレーシアでは自動車事故の件数がケタ違いに多い。WHO(世界保健機関)の2010年の調査によると、マレーシアの交通事故死者数は人口10万人当たり25人とASEANの中ではタイに次いで多い(日本は4人)。

 2014年11月には、マレーシア宅配業界団体が主催の「ドライバーコンテスト」が行われた。こうした試みはマレーシアでは初めてで、宅配業者16社が参加した。

ドライバーコンテストの一幕。マレーシアでは大小合わせて、100もの宅配業者が存在している

 このドライバーコンテストは、ヤマト運輸が社内で行っているものである。トラックの点検の仕方、教習所での安全運転技術、ペーパーテストなどでドライバーを評価する。ドライバーコンテストを見た業界団体から、「ぜひマレーシアでも……」という要望があって実現したという。

 「ドライバーの意識を向上させることで、事故を減らし、彼らの地位そのものを向上させたい。ひいては宅配業界全体を成長させようという意識が出てきています。今後は、現地の自動車教習所でも教えることができればと思っています」

業界団体主催で行われたドライバーコンテストに参加するヤマトマレーシアのスタッフたち

野本響子氏のプロフィール:

 東京都立青山高校、早稲田大学法学部卒業。安田火災海上保険(現損保ジャパン)を経てアスキー入社。「MacPower」(アスキー)「ASAHIパソコン」「アサヒカメラ」(朝日新聞出版)の編集者を経て現在フリー。『僕がアップルで学んだこと』『企業が「帝国化」する』(松井博著/アスキー新書)編集。著書に『いいね! フェイスブック』(朝日新聞出版)『マレーシアの学校の○と×アジア子連れ教育移住の第一歩』(Kindle)ほか。現在KL郊外に長期滞在中。マレーシアの教育事情などを書いたブログを更新中。


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