――「理・響・躍」については分かりました。それらを体現するところの「アイディール・リーダー」がいまなぜ求められているのか? という点について、もう少し詳しくお願いします。
永井: まず明確な答えが分かり難い時代であることが挙げられます。そして、組織は複雑化して、多様な人々が共に働く環境になっています。そんな中、イノベーションも生み出していかなければならない。我慢して、努力すれば成果をあげることができた、高度成長期とは随分景色が異なっているわけです。
――新しいリーダーシップ像が確立していれば、「失われた20年」も回避できた?
永井: それはどうでしょうか。先ほどの歴史の話を思い出してください。どんな時代でも「次のスキーム」に移行するには、10年〜20年停滞するのは避けようがない、という考え方もあると思います。もしかするとこの20年は「次の50年」のための助走・学びの期間かもしれません。バブルがはじけた直後なら「バブルよ、もう一度」となっていたかもしれませんが、いま私たちが求めているのはそういう世の中の姿ではないですよね? それに失われた20年の間に生まれ、現在成長した企業もたくさんあります。
――なるほど。そんな中御社が「アイディール・リーダー」というコンセプトを広めることに取り組もうとしたのはどういった経緯があったのでしょうか?
永井: 私個人の観点でいうと公私両面からきっかけがありました。
1つは30代にコンサルティング業務を通じて、さまざまな経営者や管理職の方とお付き合いさせていただいたのですが、判断の基準や「これを目指す」といった人生の指針がない方が多いことに驚かされました。管理職なら何十人という部下、経営者なら規模によっては何万人という従業員がいるのに、指針=行動や判断のための基準がない、ということに危機感を覚えたことが大きかったですね。
背景には、やはり高度成長期が終わり、その後の「こうすればうまく行く」という指針がなかなか見い出せない時代が続いたという点、それでいて、社会全体が豊かになり「なんとかこれを達成しなければならない」という義務感のようなものも薄れてしまったということがあるでしょう。言ってしまえば、成長・成熟した社会がみな抱える、先進国病とも言える状況に私たちは居るのです。
でも、そういう風になれたのは、俯瞰してみれば一方ですごくよいことでもあるわけです。
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