――戦後の復興期から、ここまで来ることができたという意味ではそうですね。
永井: そう。飢えて亡くなる人の数はぐっと減ったわけですから。そういう段階まで私たちは到達したのだから、そろそろビジネスにおいても「生きる」とか「人生」の意味まで立ち返って考えましょう、ということなんですよね。
そして、もう1つ「アイディール・リーダー」誕生の経緯としては個人的な体験もありました。30代前半、仕事や収入といった面には満足を覚えていた時、妻に出て行かれるという出来事があったんですね。仮に社会的な成功が得られても、幸せな人生を送ることができるとは限らない。だから、ここでも自分が何となく世間一般でいうところの成功という「基準」を定めて行動していたことに気づきました。
――ビジネスとプライベートの両面で「指針・基準」の大切さについて気づかされたり、葛藤を覚えたりした、というわけですね。
永井: はい。それで、自分自身もコーチングを受けたり、心理学や哲学を勉強しはじめました。それらに共通していたのが「指針を持ち、それにそって生きろ」ということなんですよね。つまり、自分がどう考え、行動するかを決める、価値観や志を確立しましょう、ということで、それは先ほど挙げたような古典にも繰り返し書いてあることだったのです。
――そして、ご自身でもクライアント企業の経営者や、その会社の幹部社員へのコーチングをはじめられた。
永井: 野村総合研究所で働いていたときに、企業内ベンチャー制度を活用して事業として立ち上げました。組織として大変なバックアップをしていただきました。その結果、コーチングで本質的な「指針」を持つことができる、それによって冒頭ご紹介した「理・響・躍」という3つのポイントを押さえた本当のリーダーへと成長してもらうことができる、そしてわれわれにとっては、このプロセスが事業として成立させられることを確認することができました。
コンサルティングを行う中でも、例えば新規事業の開拓というテーマで取り組みを行う際、われわれも「市場規模はこれくらい、競合はこれとこれ」といった具合に分析します。でも、結局最後は、自身の強みが生かせる領域かを自ら判断して、その気になって徹底的に取り組めるかどうか、に掛っているんです。つまり、リーダーシップが問われる、わけですね。
――逆に言えば、コンサルティングを通じていろいろなデータやツールを提供するだけでは、何かが足りなかった。コーチングを通じて、「指針・基準」を確立した上で、リーダーシップを発揮してこそ、ビジネスもうまくいくんだ、ということですね。
永井: そうですね。そうやってコーチングを行っていくと、実は本当に達成したい目標は当初取り組んでいたものではなかった、ということもあります。
(つづく)
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