「サステイナビリティ」をテーマにNYで起業した女性が語る、企業が直面し始めた課題とは?日米のビジネス事情の違いを知る(8/8 ページ)

» 2015年07月20日 07時28分 公開
[公文紫都ITmedia]
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NYで学んだことを、日本企業に還元することが大きな価値になる

関: 一口にコンサルと言ってもいろいろな形があると思いますが、Ampleenではどんな風に展開しているのでしょうか?

関口: サステイナビリティを実行するための基本的なプラットフォームはありますが、企業によって必要とされるものが変わってくるので、話を聞いた上で、カスタマイズしてプログラムを組み立てています。

 例えば、「ウチの従業員に今一番大切なのは、グリーン(エコ)のプログラムだから、『環境』に関するプログラムをつくってください」というお客さまもいますし、もしくは、「ウェルネス」という観点でいくと「『ストレスマネジメント』が問題になっているので、それを主体にしながら、グリーンプログラムもやっていきましょう」というお客さまもいます。お話を聞きながら、要望に沿った形でご提案しています。プログラムができたら、直接人を送ってトレーニングをしたり、どれだけサステイナビリティが実現されてきたかレポートを作成し、提出したりもします。

関: 期間はあるのでしょうか?

関口: 期間は会社によりけりですが、例えば、プログラムの終了まで6〜9カ月かかるお客さんもいれば、3カ月で完結するお客さんもいます。規模によっても変わってきますね。今はとある大学もクライアントなのですが、規模が大きくなればなるほど、いろいろな部署や部門に働きかけなきゃいけないので、その分時間はかかります。

関: 米国のクライアントは、東海岸中心ですか?

関口: はい。なぜ西海岸じゃなく、東海岸(ニューヨーク)なのかというと、西海岸はすでにいろいろなサステイナビリティに関するプログラムがあって、人もつながっているからです。対してニューヨークは、まだまだサステイナビリティに関しては駆け出し。これだけ多くの企業がひしめいている中で、まだ皆の潜在能力が眠っている状況なので、一社でも多くの企業のサポートができたらいいですね。今は、少しずつ増えてきた仲間と共に結託しながら、広い広いマーケットを泳いでいる感じです。

関: 日本企業をコンサルする場合には、実際に日本まで行かれるんですか?

関口: 今は、Skypeなどオンラインで対話することが多いです。

関: 今後、クライアント数が増えてきた場合には?

関口: そういった時には、日本に誰か人員を送れればと考えています。

関: ニューヨークを離れるつもりはありますか?

関口: 今のところはないですが、将来的にニューヨークと日本を半分半分なら、あり得るかもしれないですね。

関: じゃあ当面ベースはニューヨークでと。

関口: ええ。それはなぜかというと、日本企業にどっぷり浸かっちゃうと、多分自分の成長機会の限界が来るかなと思うからです。ニューヨークでさまざまな人から吸収した“貯金”をたくさん持っているうちは、大盤振る舞いして、「どうぞどうぞ!」ってできますけれど、その“貯金”が尽きて、相手にももたらせるものがなくなってしまったら、長続きしないんじゃないかなと思うんですよね。

 新しいことを絶えず学び続けて吸収するには、やはり日本だけでは物足りないところがあります。ニューヨークでいろいろな方とお会いし、学び、私自身も成長しながら、日本企業のお手伝いをすることが、おそらく一番新しいことを日本の皆さんにお伝えできると思うので、それが大きな価値になると信じています。

(終わり)

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