成田や羽田など国内の大規模空港では、日本の航空会社はカウンターでのチェックイン業務や搭乗ゲートでの案内などを大勢のスタッフで分担して進めている。しかし海外の拠点では、それらの旅客ハンドリング業務をごく少人数で担当する。その仕事ぶりは、あまり知られていない。
そこで今回、日本航空(JAL)が日本から毎日1往復を運航しているマレーシアのクアラルンプール国際空港へ飛び、成田から派遣されている緒方奈美さんに仕事の苦労や醍醐味を聞いた。
クアラルンプール国際空港には毎日、成田からJAL723便(ボーイング767-300ER)が17時45分に到着し、出発準備を終えて22時50分に折り返しの724便として再び成田に向けて飛び立つ。その到着から出発までの旅客ハンドリング業務が緒方さんの仕事だ。
「飛行機が着いたら、まずはお客さまをお出迎えして、お預かりした荷物を返却するまでを見守ります。それが済んだら、今度はその飛行機が成田に帰っていくので、カウンターに出て出発便としてのチェックイン業務に移ります。さらに搭乗が開始になる時間帯にはゲートでの案内業務も担当します」(緒方さん)
緒方さんは成田で15年間、旅客の仕事に従事してきた。クアラルンプール国際空港に着任したのは2014年9月。日本語対応の社員が必要な海外ステーションを支援するため、一定期間経験者を派遣するという会社の制度に応募したのがきっかけだ。
「海外で働いてみたいという希望が以前からありました。成田のような大きな空港では、社員の役割が細分化され、分業体制が出来上がっています。しかしクアラルンプールのような小さなステーションでは、一人一人がオールマイティに仕事をこなさなければなりません。日本にいたら絶対にできないような経験を積めるので、赴任して本当に良かったと思っています」(緒方さん)
JALのクアラルンプール線を利用する約7割は、日本人のビジネスマンや観光客だ。現地には約2万人の日本人が在留し、ペナンやランカウイなど観光地への乗り継ぎも含めて観光需要も急増している。
「723便を迎える2時間前の15時45分に出社し、724便を見送って23時45分に退社するというのが毎日のスケジュールです。日々平穏に過ぎてくれればいいのですが、なかなかそうはいきません。何らかの理由で到着便が遅れるといったイレギュラーな事態がときどき発生します」(緒方さん)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング