ゆとり教育世代の就職活動、相談する相手は誰?
授業時間や学習内容が少ない新学習指導要領の下で学んだ“ゆとり教育世代”。つめこみ教育で育った世代との違いはあるのだろうか? レジェンダ・コーポレーションの調査によると、就職活動において、ちょっとした傾向があるという。それは……。
授業時間や学習内容が少ない新学習指導要領の下で学んだ、いわゆる“ゆとり教育世代”の学生は、4年制大学卒業の場合2010年4月から企業に入社してくる。
就職氷河期が終わり、一般に売り手市場といわれる2009年4月入社組の就職活動を分析すると、すでに“ゆとり世代的”な傾向が現れているという。就職活動における、ゆとり世代的特徴とはどのようなものなのだろうか?
大企業志向で、親に喜ばれる企業を選ぶ
2008年4月に入社した新社会人と、2009年4月に新社会人となる学生を比べると、就職活動で迷った時の情報源に違いがあるようだ。2008年4月入社の新社会人は「(就職活動で迷った時)人事や企業の先輩」(31.9%)などに相談した人が最も多かったが、2009年4月の新社会人は「友人や教授、親」(35.2%)に相談する傾向があることが、人材会社のレジェンダ・コーポレーションの調べで分かった。
親や友人に相談するのが最も多かったのは「文系女性」で38.0%(昨年と比べ10.3ポイント増)、次いで「文系男性」で35.0%(同11.5ポイント増)と、伸び率を見ると文系男性がトップ。この結果についてレジェンダ・コーポレーションの藤波達雄社長は、企業側とコミュニケーションをとるよりも、身近な人物を選ぶのは「最近の学生に見られる“ゆとり世代的特徴”」と分析する。
また調査時点(5月14〜20日)で、69.9%の学生は内定を獲得しているが、全体の50.8%はまだ就職活動を続けていることが浮き彫りになった。「ゆとり教育世代の学生は大企業志向が強く、親に喜ばれる企業を選ぶ傾向がある」(藤波社長)
インターネットによる調査で、2009年3月卒業予定の大学4年生と大学院生(大学:73.9%、大学院24.7%)を中心に4791人(男性48.1%、女性51.9%)が回答した。調査期間は5月14日から5月20日まで。
就職活動での負担は「交通費」
自分の就職活動を振り返ると筆記試験や面接などがうまくいかず、苦い思い出があるという人もいるだろう。新社会人に就職活動で一番負担になったことを尋ねると「交通費」が最も多く37.2%、次いで「応募時の書類作成」(24.7%)、「学業の両立」(13.9%)、「面接」(7.6%)という結果が出た。「就職氷河期の頃は1日数社訪問する学生も多く、タクシーを使って回っていた。最近では役員面接で交通費を出す企業も増えていることから、“甘い学生”が増えているのかもしれない」(藤波氏)
目標とする年収を聞いたところ、就職活動前の平均は805万円だったが、就職活動後は980万円と175万円も増加している。最も高額の年収を挙げたのは男子大学院生で平均1184万円、最も少なかったのは女子大学生で平均630万円。「就職活動を続けていくうちに年収というものを明確にイメージし始めたのかもしれない」(藤波氏)。ちなみに厚生労働省によると、2006年に入社した大学院卒の初任給は22万4800円、大卒は19万6300円と、理想と現実とのギャップはかなりあるようだ。
3社以上の内定をもらった学生の特徴は?
すでに3社以上の会社から内定を獲得した学生は、どういった就職活動をしてきたのだろうか。3社以上の内定をもらった学生のエントリー企業数は平均65.4社で、全体と比べ2.8社多い。このほか企業説明会への参加や面接回数など、内定2社以下の学生と比べ積極的な行動が目立った。
また2009年の新社会人全体にいえる特徴として、親や友人など身近な人に相談する学生が増えていたのに対し、同世代でも3社以上の内定をもらっている学生は、人事や企業の先輩と面接する人が多かった。
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