“新金融”がやって来た! maneo VS. SBIプロスパー(前編)(3/3 ページ)
欧米などで広がっているソーシャルレンディングが日本でもスタートした。個人と個人のお金の貸し借りを仲介するサービスだが、具体的にはどんなビジネスモデルなのだろうか。10月に開業した、maneo(マネオ)の妹尾社長に話を聞いた。
ソーシャルレンディングの懸念材料
消費者金融または金融機関の貸出金利よりも、安くお金を借りることができるかもしれないソーシャルレンディング。銀行の窓口に行って、お金を借りるといった煩わしさもない。お金を借りる側にとってはある意味“おいしい話”なので、maneoには借り手が殺到するのだろうか。
もちろんまだ知名度が低いので、借り手が急増することは難しいが、その前に2つの懸念が存在する。1つはmaneoが貸金業登録をしているため、改正貸金業法の総量規制を受けるということだ。総量規制とは自社からの借入残高が50万円超または総借入残高が100万円超となる貸付の場合は、総借入残高が年収の3分の1を超えて貸し付けを禁止するというもの。この制度は2009年3月までに導入する予定で、「総量規制が始まれば、消費者金融の会社は激減するだろう」(業界関係者)。市場の縮小は時間の問題ともいえる中で、どこまで貸付残高を増やせるかがカギとなるだろう。
もう1つの懸念は、日本社会にどこまでなじむかどうかだ。まだサービスが始まって間もないが、貸し倒れ率が高くなれば、“悪質な借り手ばかり”というイメージが膨らみ、“良質な貸し手”が逃げていくことが予想される。この点については妹尾社長も認識しており、「できるだけ本人確認を徹底させ、健全で信用力の高いサービスを提供していきたい」という。
この“新金融”ともいえる市場に、今のところ競合他社はいない。しかしこのビジネスを先に手掛けた外資は手をこまねいているわけではなく、開設準備を進めている。2005年に開業した英国のZopaは、2008年3月に日本法人の設立を明らかにした。また米国のProsperは2007年8月、SBIホールディングスと合弁会社「SBIプロスパー」を設け、年内開業で準備を進めている。
“新金融元年”ともいえるが、他社はどのような動きを見せているのだろうか。次回はSBIプロスパーを紹介する。
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