コラム
老人ホームをリノベーション――イマドキの社員寮のカタチ:大出裕之の「まちと住まいにまつわるコラム」(3/3 ページ)
若い社員の早期退職を防止したり、団結力や意識・価値観共有のベースを提供するということで見直されつつある社員寮。老人ホームをリノベーションして社員寮にした物件があると聞いて、内覧会に行ってみた。
若者向け独身寮っぽい個室、大胆に変わったのはランドリー・洗面周り
2〜4階まで各14室、5階のみ13室で計55室となっている。室内照明が裸蛍光灯(白熱球タイプ)なのは意匠だそうだ。ちょっとした暖かみの演出なのだろう。
内覧会では、各居住フロアに2カ所設置されているシャワールームが評判だった。「イマドキの若者は全員が大浴場でのコミュニケーションを好むというわけではないだろうから」という意見が出ていた。
個人的に面白かったのは、個室だけでなく収納が分散していること。メールボックス、シューズボックス、各フロアのロッカー室、水周りのロッカー、そして地下のトランクルーム。寮全体のそこかしこに個人スペースが分散していて、それぞれの用途の個人所有物を分散収納することになる。人にもよるとは思うが、なにやら楽しい感じがする。鍵をたくさん持ち歩かなければならない気もするが。
実は筆者は寮というものに住んだ経験が無いのだが、拝見してみて共同生活も面白そうだと感じた。今回は大手企業に一括で貸す予定とのこと。運用ルールがしっかりしていれば、人をひきつける寮としての役割を果たせるのではないだろうか。
廊下。各部屋入り口上部に棚のようなものがあるのは、もともと老人ホーム時代にあったむき出しの配管などを隠しつつ、意匠的にこだわった照明に変身(左)、洗濯機の向かい側は北側の柔らかな光と小粋な椅子(中央)、キッチンはやはりオール電化(右)
洗濯機の位置から洗面所とトイレを望む。左にあるのは個人用ロッカー。ここにも物入れがあるのは便利。その先を左に回るとシャワールームがある(左)、生まれ変わった洗面台。大学出たてでこんな洗面台で顔を洗う生活とはうらやましい(中央)、リノベーションする前の写真が置かれていた(右)
各フロア同じ構造になっている。これを見てお分かりのとおり、独身寮として設計された(左)、お部屋。水道は来ていないので、例えばお茶を沸かそうと思うなら水は共同キッチンからくんでくることになる(中央)、室内から見たドア。脇にはクローゼット(右)
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