経営コンサルタントの仕事とは――藤沢烈さん(前編):あなたの隣のプロフェッショナル(4/4 ページ)
「これからの日本に必要なのは、革新的な経営感覚を持った若き経営者だ」――そう考え、有望な人材の発掘・育成のサポートに日々邁進する経営コンサルタントがいる。藤沢烈、33歳。マッキンゼー出身、現在は独立してベンチャー企業のコンサルティングを行う、彼の日常とは?
あっと驚くライフスタイル――毎日2回の“昼寝”と野菜煮込み
藤沢さんを語る上で外せないのが、実にユニークなそのライフスタイルだ。
「勘を冴えさせるためには、体調管理がとても大切なんですよ。そのための自分なりの努力は毎日欠かさないようにしています。以前は、毎日10キロのランニングを欠かさずやっていましたが、現在は、自転車や筋トレを中心にしています」
ユニークなのはここからである。「生活リズムとしては、朝5時に起床して仕事しますが、一番勘が冴えるのは午前7時までの時間帯ですね。そして午前8時ごろに、1回目の昼寝をします。私はいつでもどこでも1分で寝付ける体質ですので、ここで10分くらい寝ます。そうすると頭がすっきりして、また仕事がはかどるんです。
そして昼食後、午後1時ごろに、2度目の昼寝を10分くらいします。7分寝るのが、一番調子が良いんですけどね(笑)。夜は、12時には寝ます。私が神谷町のこのオフィスに移ったのも、こうした生活リズムを毎日保てるようにするためなんです」
食事やお酒は、どんな風にしているのだろうか?
「実は、食事にはこだわりがあるんですよ。過去4年間続けているんですが、1日2食は自作の野菜煮込みを食べるようにし、残り1食を会食に当てています。野菜煮込みは、私にとって『仕事食』と言ってよいものです。キャベツ、人参、玉葱、大根など野菜をたっぷりと入れ、鶏肉や豆腐を加えて2日分まとめて作るんです。
お酒については、おつきあいの上で飲むことはありますが、今は自分から『酒を飲みたい!』と言って飲みに行くことはなくなりました。一番の理由は、お酒を飲むと、朝のひらめきがなくなるからなんですよ」
かなり厳しい自己管理をしていることが伺われるライフスタイルである。このライフスタイルのおかげで、藤沢さんの“勘”は、常に冴えを確保できるのか?
「う〜ん、やはり基本的には、徹底して考え抜くという姿勢こそが大切です」。……なるほど。我々凡人はしばらく考えてダメだと、「あぁ、今日は煮詰まったから、もうやめよう!」とあきらめてしまいがちだが、それではいけないということ?
「いけませんね(笑)。煮詰まったと思っても考え抜くんです。そうすると翌朝、とても良いアイディアがひらめいたりするものです。一回スランプになって、ギリギリの状態に追い込まれて初めて、思考はブレイクスルーするんだと思いますよ」。
「些事に神宿る」と言われる。一見雑談めいたこうした会話の中にこそ、今日の藤沢さんを作り上げた要因が、図らずも浮き彫りになっているように感じるのは、筆者だけであろうか?
インタビュー前編では、藤沢さんのお仕事の一端についてお聞きした。後編では、彼のこれまでの歩みと、これから向かおうとしている方向についてお話を伺ってみようと思う。
→1人シリコンバレー創業プロジェクト、そして――藤沢烈さん(後編)
嶋田淑之(しまだ ひでゆき)
1956年福岡県生まれ、東京大学文学部卒。大手電機メーカー、経営コンサルティング会社勤務を経て、現在は自由が丘産能短大・講師、文筆家、戦略経営協会・理事・事務局長。企業の「経営革新」、ビジネスパーソンの「自己革新」を主要なテーマに、戦略経営の視点から、フジサンケイビジネスアイ、毎日コミュニケーションズなどに連載記事を執筆中。主要著書として、「Google なぜグーグルは創業6年で世界企業になったのか」、「43の図表でわかる戦略経営」、「ヤマハ発動機の経営革新」などがある。趣味は、クラシック音楽、美術、スキー、ハワイぶらぶら旅など。
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