こんなエコの旅はいかが? ヨーロッパ国際列車で“仕事を忘れて”:松田雅央の時事日想(3/3 ページ)
そろそろ夏休みということで、ワクワクしている人も多いのでは。ちなみにヨーロッパは今、夏のバカンスシーズン真っ只中。そこで今回の時事日想では、エコで便利な列車の旅をご紹介する。
気になる安全性
慣れない土地で長距離列車を使うのは何かと心細いもの。どれだけ安全で、どういうトラブルが考えられ、どう気をつけなければいけないのか、あらかじめ知っておくことが肝要だ。
まずは安心できる話から。
これまで使った鉄道のなかで一番安全と感じたのはスイス。スイスの列車は運行時間も正確で「1分たりとも遅れない」のがモットーだとか。この几帳面さはヨーロッパの中にあっては非常に珍しく、感覚が日本の鉄道と近いように感じられる(列車の清潔さはドイツ鉄道が一番)。写真の子どもたちは大人なしで特急列車に乗っていた3人組。乗車駅へは祖父母が送り、下車駅では両親が待っているそうだが、それでも子どもだけで3時間の旅をさせられる安心感はスイス鉄道ならではだ。
次は不安になる話し。
残念ながら国際列車は置き引きが多く、かく言う筆者も何度かやられたことがある。一度は頭の上の棚に置いた小さなバックが消え(ベルギー・ブリュッセル付近)、もう一度は夜行列車でカバンからノートPCを抜き取られた(オーストリア・ウィーン付近)。
盗られたことはもちろんショックだが、それに追い討ちをかけたのが警官の対応だ。ブリュッセル駅の鉄道警察に駆け込んだところ、詰めている警官は「それでどうしたいの?」。これには耳を疑った。盗難にあい警察に来たのだから、当然、関係機関に問い合わせてもらったり、盗難届けを出してもったり、などを期待していた。彼が面倒くさそうに調書を作る姿を見て、盗品が返ってくるという期待ははかなくも消えてしまった。ウィーン駅の警官の対応は人間的だったが、それでも取り戻せる可能性はほとんどないと言われた。いずれにしても、旅行後に盗難保険に申請したければ盗難届けの証書が必要だ。
そんな危険はあるけれど、置き引きのリスクは旅行者の注意次第でかなり減らせるはず。過剰に臆病となることなく、ぜひヨーロッパ国際列車の旅を楽しんでいただきたい。
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