男の知らない“きれい”とは――4000枚以上の写真から完成したカシオ端末の「美撮り」:ケータイ世代の女性が企画(2/2 ページ)
カシオ日立モバイルコミュニケーションズの中澤優子氏は、入社2年目にして、同社のソフトバンクモバイル向け1号機の開発チームに抜擢された。周りは年の離れた男性ばかりという環境の中、彼女に課せられたのは「女性向けモデルの企画」。そこで考案したのが「美撮りモード」だった。
10代は自分撮りで“盛り写メ”を残したい
美撮りで撮影をする主なシーンは“自分撮り”が想定されている。中澤氏によると、自分撮りをするユーザーは10代が圧倒的に多いという。「ブログやmixiなどを見ると分かりますが、高校生のコミュニティで自分撮りは普通です。芸能人のブログでも自分撮りをした写真がたくさん使われています。10代は芸能人にあこがれる世代でもあるので、自分撮りはとても重要な機能といえます」と中澤氏は見る。
10代のユーザーにとって、自分がかわいく見える写真――いわゆる“盛り写メ”を撮れるのは非常に重要だという。盛り写メの「盛る」は、女子高生などが使う「過剰な化粧をすること」から転じた「過剰な演出をすること」に由来する。「その写真、盛れてるよね」という会話が普通になされているという。そんな10代にとって、ケータイカメラは最も身近な撮影道具なので、彼・彼女らがカメラに求める機能と手軽に使えるケータイの特性を考えると、美撮りはうってつけの機能といえるだろう。
ちなみに、筆者の周りにいる30代前後の男女で自分撮りをしているユーザーはあまりいない(と思う)が、自分撮りについて中澤氏は「面白いサンプル結果があります」と話す。
「830CAを企画する前に、1度自分撮りについてのグループインタビューを実施したことがあります。『普段自分撮りをしていますか?』と聞くと『しない』と言われるのは分かっていたので、『自分撮りをしてみましょう』という流れにしたんです。すると、皆、ケータイを構える角度が決まっているんです。インカメラが付いていない機種も、真ん中に自分が写っていたし、表情も決まっていました。実際は何度も撮っていたんでしょうね」と中澤氏は話す。こっそり自分撮りをする人は意外と多いのかもしれない。
カシオらしい、女性の琴線に触れるケータイを作りたい
開発スタッフのこだわりが凝縮された美撮りは、今後どのように進化していくのだろうか。中澤氏は「搭載する機種ごとにバージョンアップはさせたい」と言いつつ、「言葉で訴求するものではないので、バージョンアップしたとは言いたくない」とも話す。「美撮りは感性の世界なので、言葉を並べても響きません。そうした邪魔する要素は入れたくありません」(中澤氏)
ケータイのカメラに美撮りを搭載することで、中澤氏が目指すケータイの1つを世に送り出せた。今後はどんなケータイを作りたいと考えているだろうか。「最近は共通プラットフォームでUI(ユーザーインタフェース)が統一されたり、iPhone化、スマートフォン化したりする流れになりつつありますが、カシオならではの世界観を伝えていきたいですね」と話す。具体的には「使いやすくて簡単なもの、20代の今だからこそユーザーの声を引き出せる端末」だという。
また、カシオ計算機では“EXILIMケータイ”が人気だが、「ブランド名があることにネガティブな反応を示す人もいる」という。ブランド名があるモデルだと「そこまでしなくても……」と敬遠する人が、830CAのようにブランド名のないモデルには触手が伸びることは多いようだ。「長く使うケータイはファッションアイテムにもなるので、EXILIMケータイなどのほかに、スタンダードな機種で引きが強い柱を立てたいです。花柄などあからさまに女性を狙ったものではなく、ファッションやTPOに合わせて使えることを配慮した、女性の琴線に触れるものを作りたいですね」(中澤氏)
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